■泥棒国家、日本。
【日本社会を読み解くための本】
「泥棒国家の完成」ベンジャミン・フルフォード
カナダ人ジャーナリストによる現代日本のゆがんだ統治システムの鋭い描写と批判の書。「日本がアルゼンチン・タンゴを踊る日」「ヤクザ・リセッション さらに失われる10年」に続く3作目。このシリーズを読まずして現代日本の政治、経済を的確に捉えることはできない。
日本が「泥棒国家」であるというフルフォード氏の主張は、本書冒頭の次の表現に集約されている。
現在の日本は、人類史上類をみない「泥棒国家」(クレプトクラシー kleptocracy)である。民主主義国家 democratic state ではありえないとされる一部の特権階級 privileged class によるオリガーキー oligarchy (寡頭政治)が行われている国であり、本当の意味での国民の代表者 representatives が政治を行っていない。
彼ら、すなわち、政治家 politicians 、官僚 officials 、ゾンビ企業 cooperate zonbies 、ヤクザ gangsters らが、あなたが毎日一生懸命働いてつくりだした富 wealth を、手を替え品を替えて奪っているのである。これは、まさに国家による収奪である。(p.7)
収奪する側の特権階級は上にあるように「政・官・業・ヤクザ」の連合体なのだが、警察とマスメディアも加担している。元日銀理事で2000年に日債銀社長に就任した本間忠世氏が、就任2週間後に宿泊先のホテルで謎の死をとげた事件は「首吊り自殺」として処理されているが、著者は疑っている(p.92-93)。民主党の石井紘基・衆議院議員が2002年に刺殺された事件にしても、自首した犯人の「金銭上のトラブル」というウソくさい動機の自白以外の理由を著者は疑っている(p.33)。警察やマスコミは特権階級でない側の国民をだます側に加担している。なおこの2つの事件については前2作の方が詳しい。
「泥棒国家」について
Kleptocracy という英語は聞きなれないが、本書でも百科事典の記述が引用されているように造語ではない。klept が thief/thieves (泥棒)の意味、cracy は democracy (民主政体)や bureaucracy (官僚政治)の後半部にあるように power, govern, rule などの意味である。kleptocracy は「収奪政治」「略奪国家」という訳もある。「〔政治〕抑制欠如政治《権力の座にあるものが国の富をくいものにする政治;市場経済をコントロールできない政治》」という説明もある(ジーニアス英和大辞典)。
光文社ペーパーバックスについて
すべて横書きで、上の引用文のように英語混じりの表記がされているのが特徴。そのほかジャケットと帯がないなど4つの特徴をうたっているが、何よりフルフォード氏の著作を3冊シリーズで出版したことを高く評価したい。しかも1冊1000円!(本による) これからも良書をできるだけ廉価で出し続けていただきたい。■
■書名: 泥棒国家の完成
The Iron Kleptocracy: The Sun Never Rises Again
著者: ベンジャミン・フルフォード Benjamin Fulford
発行: 2004年3月30日(初版第1刷発行)
出版社: 光文社(光文社ペーパーバックス)
定価: 952円+税(計1,000円)
備考: シリーズ第3作
url: (出版社),(アマゾン)
■書名: 日本がアルゼンチン・タンゴを踊る日
The Day Japan Came Crashing Down
著者: ベンジャミン・フルフォード Benjamin Fulford
発行: 200年月0日(初版第1刷発行)
出版社: 光文社(光文社ペーパーバックス)
定価: 667円+税(700円)
備考: シリーズ第1作
url: (出版社),(アマゾン)
■書名: ヤクザ・リセッション さらに失われる10年
The Yakuza Recession: Another Lost Decade
著者: ベンジャミン・フルフォード Benjamin Fulford
発行: 200年月0日(初版第1刷発行)
出版社: 光文社(光文社ペーパーバックス)
定価: 952円+税(1000円)
備考: シリーズ第2作
url: (出版社),(アマゾン)
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