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2005年8月

2005年8月20日 (土)

郵政解散と選挙の争点

郵政民営化法案の否決で国会が解散されたからといって、選挙の争点を「郵政改革」だけにしぼられる筋合いはない。総選挙は今後最長4年間の国政を左右するものだからだ。

郵政にかぎらず、経済構造の改革は、日本の将来にとって重要なテーマだと言える。しかも人口が減少に転じるまでの今後2,3年は、日本社会にとって大きなターニングポイントでもある。

しかし、自衛隊のイラク派兵問題はどうだろう? 

派兵が自国の経済的繁栄を維持するためであってはならない。派兵を容認する立場であっても、少なくともイラク国民のためでなくてはならない。ところが、米英の軍隊は多数のイラク国民を犠牲にしている。自衛隊は自身はそういう活動をしていなくとも、その軍隊の味方をしていることになる。

他国の国民の軍事的な犠牲を容認・支援しながら、最も豊かな国が国内の経済問題を優先してよいのだろうか?

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2005年8月17日 (水)

ロングテール

ロングテール現象、あるいはロングテール理論と呼ばれるキーワードが最近注目されている。
 
「ブログ資本主義」を特集した「週刊東洋経済 2005/7/30号」は次のように説明している。 
「ロングテール」とは、米『ワイヤード』誌のクリス・アンダーソン編集長が考案した概念。昨年末あたりから米国で注目を浴び始めた。そのメッセージは、「リアルの世界では採算が合わなかったニッチの商品が、ネットの世界ではカネのなる木に変貌しうる」というものだ。(p.32)
モデルとなった事例は米国のアマゾンの書籍販売らしく、販売冊数の39%を部数ランキング10万位以下の商品(書籍)が占めるという。品揃えは約230万冊というから、上位4-5%の商品で販売冊数の6割を占める、と言った方が分かりやすいかもしれない。(*1)
 
それだけならパレートの法則や80:20の法則の話と変わりがない。しかし、ロングテールが注目するのは、まったく逆の観点。
 
これまでパレートの法則や80:20の法則は、下位は非効率だから切捨てて上位に経営資源を集中させる、という戦略に使われていた。ロングテール理論は逆に、だらだらと長い下位(ロングテール)こそ稼ぎどころだと捉える。
 
リアルでは非効率にならざるを得なかった少量しか売れない多数の商品が、ネットではほとんど非効率にならず、むしろリアルビジネスより優位になって収益源になるというものだ。
 
ネットという観点で注目されたものの、小売業界では地方の巨大なホームセンターが、めったに売れない商品も品揃えすることで集客力を高める、という話は昔からあった。
 
売れ筋に注目するだけでなく、隠れたロングテール、まだ顕在化していないロングテールな需要を、とくにITを活かして掘り起こせば、ビジネスチャンスが得られるということだろう。ネットネイティブでない私のような世代は、「上位に集中」で凝り固まらないように、頭をほぐしておく必要がある。
 
*1: 東洋経済誌には、エリック・ブリニョルフソンらの資料を出所とするグラフが掲載されている。
 
【参考】 
 
「ロングテール」について素人なりに考えてみる(上) -「パレートの法則」と「80:20の法則」 ロングテールと従来の理論の違いについて的確に解説。グラフあり。
 
パレートの法則 パレートの法則について詳細な解説。

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2005年8月 6日 (土)

「学習0,1,2」とビジネスゲーム研修

先日受講したセミナーで「学習0,1,2」という理論があることを初めて耳にした。※1,2

 「学習0」は、受身で講演を聞くだけ、あるいは本を読むだけというもので、ほとんど学習効果がないという。 「学習1」は、「ある文脈のもとでとるべき行動(芸・正解)を学ぶ」もので、イルカに芸を仕込むのが例として挙げられた。知識やスキルを習得するタイプのものはこれにあたる。
したがって反復学習により効果が得られる。

これに対して「学習2」は「文脈の学習」で、イルカの例で言うと次にやる芸をイルカ自身が選ぶように教えるのにあたるという。

つまり「学習2」は

「変化に対応することの学習」
「どういう文脈の時にどういう学習をすればよいかということの学習」

であり、ほかにも

「文脈を変えても適用できる」
「現場と原理原則の結びつきを学ぶ」
「正解はなくてもよい」
「学習1を抜きに教えてもだめ(無秩序になる)」
「リーダー教育に役立つ」
「自発性・自律性を与えることにより、モチベーションを高める」

 という説明がされた。 また「学習2」に効果的な学習方法として、

ケーススタディや参与観察などで<教材の文脈を変える>
討論、ロールプレイなどで<学習活動の文脈を変える>
内省、振り返り、日誌などで<自我関与の文脈を変える>

という3パターンが挙げられている。

ビジネスゲーム形式の研修は、まさに「学習2」が中心だ。
知識・スキル系の研修と違って「明日から使えることを」という要望には十分に応えにくいタイプのものだが、「学習0,1,2」という枠組みで説明すれば価値をよく分かっていただけるのではないか。

同時に、研修を実施する側としては「学習2」という側面を意識して、効果を高める工夫をしていかなくてはならない。

※1: セミナー講師は、早稲田大学人間科学部助教授の向後千春氏。
2005年7月21日 e-Learning Conference 2005 Summer Track-D-1
「学習の条件 ~どんなときに人は学ぶか~」において。

※2: この理論のオリジナルは心理学者のベイトソン(G.Bateson)で、学習4まであるらしいが、向後氏によれば科学的と言えるのは学習3(学習2の学習、人類全体の学習)がぎりぎりだという。

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