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2006年1月

2006年1月11日 (水)

虫が良すぎるような気がする

京都での初詣での帰り、タクシーの運転手さんが語り出す。

「この仕事いろんなお客さんがいはって、お伊勢参りをするといいことがある、と占われたことがありますが、私ら毎日こつこつ真面目に仕事すんのが大事や思ぅてますやろ。そんな、お参りするだけでえぇことあるなんていうのは、なんや虫が良すぎるような気がして、もぅだいぶ前に言うてもろたんやけど、まだ行ってませんのや。もしかして行ったらえぇことがあるのかも知れませんけどねぇ。」

この謙虚な言葉を聞いて、どこか懐かしいような安心感を覚えるのは僕だけだろうか。こういう人がまだ市井にいるのだ、ということを知って覚える安心感である。

「昔はそういう人が多かった」という記憶も証拠もない。もしかしたら昔から皆「ご利益(ごりやく)」には敏感だったかもしれない。あるいは自分自身がそういう謙虚な真面目さに憧れながら、現実には小賢しく「合理的に」ふるまっているせいで、そんな風に感じたのかもしれない。

それにしても、こういう倫理観というか人生観はどこから来ているのだろう。確かに最近は流行らないだろうが、そういう生き方、ものの見方はなにがしか真理を突いているように思えるので大切にしたい。

「神頼み」するのは「悪いことがないように」と「苦しいときだけ」でえぇんとちゃうやろか?

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「任せれば、人は楽しみ、動き出す」

昨夜(2006/01/10・火曜)のNHKのテレビ番組「プロフェッショナル」で、リゾート再生請負人と呼ばれる星野リゾートの社長、星野佳路さんが語った言葉。

彼がホテルを継いだとき、米国MBA流のトップダウン型のマネジメントを行ったが、従業員が反発して3分の1ほども辞めていってしまったという。ホテルは人がいないと日々の運営から成り立たないので、社員に居てもらうためには「楽しませる」しか方法がなく、社員に責任のある仕事を任せたのがきっかけだったという。

そこで彼は、任せれば、人は楽しみ、動き出す ことに気づき、意思決定を従業員に委ねることにした。 もちろん、ただ委ねるのではなく、きちんとしたプロセスを経て辿り着いた結論であればという条件がつく。番組では彼がそのプロセスを支援するために、アンケートなどの調査結果を提供して従業員の考えや意欲を引き出しているところが映し出されていた。

もう一つ重要な点は、より共感できるものを選ぶ、という点。経営には正解がない。だからこそプロセスが適切であればそれで動けばよいのだが、複数の結論があるときは、より共感できるものを選ぶ。その方が意欲が高まるからだ。

彼の経営する会社は、いくつかのグループに分かれたフラットな組織で、各グループのリーダー(別の名称だったかも)は立候補制。メンバーの選挙によって選ばれるという。まさにファシリテーター型リーダーシップと、デモクラティックな企業組織のモデルを見た思いがした。

※参考: この番組について書かれた「日経ものづくり Tech-On」の記事

 ※追記 番組のバックナンバーページ(NHK)http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/060221/index.html

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