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2006年5月 4日 (木)

梅田望夫「ウェブ進化論」 &d

梅田望夫氏による「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」(*1)を読んだ。21世紀のデモクラシー(民主主義)が、20世紀までのそれとまったく異なる様相のものになることを、確信をもって予感させられた。

これまでのインターネットなどの情報技術とデモクラシーの関係は、「eデモクラシー」や「ネット選挙」のように、既存の民主主義制度を発展・充実させるという域を出てなかったように思う。

しかし、たとえば本書が紹介するグーグルの民主主義は、まったくそういうものではない。

グーグルは自らのミッションを「世界中の情報を組織化(オーガナイズ)し、それをあまねく誰からでもアクセスできるようにすること」と定義している。(p.50)

そしてグーグルに勤める友人の話として、次の言葉を紹介する。

「世界政府ってものが仮にあるとして、そこで開発しなければならないはずのシステムは全部グーグルで作ろう。それがグーグル開発陣のミッションなんだよね」(pp.14-15)

また、グーグルのウェブサイトにある「10 things Google has found
to be true」(グーグルが真実だと見出した10の事柄)の一つに、「Democracy
on the web works.」(ウェブ上の民主主義はワークする)という項があるといい(p.53)、具体的には検索エンジンのランク付けを例に、次のように説明している。 

権威ある学者の言説を重視すべきだとか、一流の新聞社や出版社のお墨付きがついた解説の価値が高いとか、そういったこれまでの常識をグーグルはすべて消し去り、「世界中に散在し日に日に増殖する無数のウェブサイトが、ある知についてどう評価するか」というたった一つの基準で、グーグルはすべての知を再編成しようとする。(中略)リンクという民意だけに依存して知を再編成するから「民主主義」。そしてこの「民主主義」も「インターネットの意志」の一つだと、彼らは信奉しているのだ。(pp. 54-55)

おそらく、これだけではピンとこないかもしれないが、興味のある方は本書を読んでいただたい。ほかにも、デモクラシーの中身が変わるであろうことを予感させる話がいくつもある。

もちろん、デモクラシーだけでなく、ネットがこれからの社会にどういうインパクトをもたらすかについて関心のある方にも、ぜひぜひお勧めしたい。

*1: 「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」(2006/02、筑摩新書) 
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"&d" = "and democracy". デモクラシーを切り口に様々なトピックを捉えるシリーズ。

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追記。
「Google が発見した 10 の事実」の日本語ページ(Google日本法人のサイト)
http://www.google.co.jp/intl/ja/corporate/tenthings.htm" rel="nofollow">http://www.google.co.jp/intl/ja/corporate/tenthings.htm
ページの上から3分の1ほどのところに「4. ウェブでも民主主義は機能する。」の項目がある。

投稿: ASAO | 2006年5月11日 (木) 22時06分

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