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2006年6月21日 (水)

日銀 福井総裁の資金拠出問題 &d

福井総裁は、法律にも内規にも違反していないのなら、辞任すべきではない。スキャンダルで金融政策を曲げるべきではない。今後、日銀の独立性と民主的な統制についてきちんと検討すべきだ。



日銀 福井総裁が村上ファンドに出資をしていた問題で追及されている。
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200606160060.html

そんな中、今朝(6月21日付)の日経新聞は、福井総裁がゼロ金利政策の早期解除を辞さない姿勢を示したと報じた。
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt37/20060620AS2C2004J20062006.html

中央銀行(日本では日本銀行)は重要な政府機関の一つだ。経済活動全体に対する金融政策の影響力はかなり大きい。金融政策を政治的な思惑から切り離して安定的なものにするために、中央銀行は一定の独立性を持つべきだと考えられている。日本でも1997年に日銀法が改正され98年から施行された。
http://www.nli-research.co.jp/report/econo/eco9709.html

デモクラシーの観点から見ると、日本銀行の独立性は二つの面がある。一方で、時の政権から独立性を持つことは「権力の分散」という面があり、プラスの評価ができる。他方、日銀幹部などの専門家に無条件に意思決定を委ねるような形になっており、国会などの影響力が低いため、「民主的な統制」という面が弱い。

その点、インフレ目標に準ずるかたちで、消費者物価上昇率の中長期的な「目安」となる数値を初めて示したとされる福井総裁は、控えめながら評価してよいと思う。政策目標の明示は、責任者の事後評価・監視に有効だからだ。
http://www.asahi.com/special/060307/TKY200603100294.html

以上の文脈を踏まえ、さらに現時点で金利上昇によって最も深刻な影響を受けるのが、大量の国債発行残高を抱える政府(国の行政部門)だと考えるなら福井総裁は、かなり強い意思表示をしたのではないかと思える。

福井総裁は、法律にも内規にも違反していないのなら、辞任すべきではない。もちろん倫理的にはまずい。株式投資は「凍結」しておきながら、村上ファンドへの出資(投資)だけ解約しようとしたのも、筋が通らない。それでも、辞任すべきではないし、スキャンダルで金融政策を曲げるべきではない。

ただし、今回の事件をきっかけに、日銀幹部の私的な金融取引等について、きちんとした内規や法律を設けるべきだ。また、長い目でみたときには、日銀の独立性とデモクラシーについて検討すべきだ。日本銀行の政策に対する国民の民主的な統制のあり方を考えないといけない。

"&d"="and democracy": デモクラシー(民主主義)を切り口に様々なトピックを捉えるシリーズ。

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