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2007年6月

2007年6月26日 (火)

質問の威力を実感

アクションラーニングのコーチ養成講座(受講)が先週から始まった。その一環で講座外でトレーニング・セッションを行うことになっており、昨日、コンサルティング先の会社にご協力いただいて第1回を実施した。教習所を出て初の路上運転をするようなものだ。

アクションラーニングについて知らない人たちとセッションに取り組むのは初めてだったけれど、最後のリフレクションでのコメントを聞くと非常に高い効果が得られたことがわかった。

質問しかしてはいけない(質問に答えるのはよい)というルールが、初めての参加者には難しいハードルとなったようだが、同時にその強力な威力も実感できたようだ。

提示された問題への解決策はおおむね予想の範囲だったようだが、自分たちで深く考えた結果、「言われてやる」のと違って納得感が強くなった、とのコメントもあった。

アクションラーニングについての前の記事(07年4月)

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2007年6月22日 (金)

「全員を活かす」意識が力を引き出す

先日、FAJ-biz(=日本ファシリテーション協会のビジネス分科会)の研究会に参加しました。

テーマは職場のリアルネタ。ある方が実際に直面している状況を題材にしたため、ここで内容に触れることはできませんが、その状況についての説明をもとに、当事者になったつもりで問題を特定し、解決のためのアクションを考える、というもの。5人ずつに分かれたチームが、それぞれこの課題に取り組んで発表しました。

「全員を活かす」という意識

私のチームには、マイペースで話し出すととまらないAさんと、寡黙でなかなか自分の考えを言わないBさんがいました。私を含むあとの3人はわりと普通。ファシリテーター役の方の仕切りがかなり控えめだったので、私は多少仕切ってしまいました。

AさんとBさんは、少し対処しづらかったのですが、全員の意見を採り入れ、活かすかたちで結論をまとめたいと思っていたので、逸れた話を戻したり、個別に質問したり、といった努力をしました。

すると・・・

やがて2人の発言の中に、あっさりまとまってしまいそうだった残りの3人にない視点が、含まれていることに気づきました。意識していなければ軽視してしまったかもしれません。全員の意見を採り入れようと耳を傾けた結果、はじめてその重要性に気づいたのです。

「全員を活かす」という意識がなければ全員の力を引き出すのは難しい、ということを改めて実感しました。たまたま席を同じくしたというだけの、いわば「寄せ集め」のメンバーが、「強いチーム」になるためには、「全員を活かす」という意識で、全員に向き合うことが欠かせないのです。

FAJの研究会は、しばしばこのような「寄せ集めの強いチーム感」を実感させてくれます。ふだん一緒に仕事をしているメンバーどうしは、ベクトルが揃いすぎているのでしょうか? それとも人間関係や組織の関係が、「全員を活かす」という意識を邪魔しているのでしょうか?

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「MBA式 面接プレゼン術」

以前のブログ記事(旧サイト)で紹介した、私の訳書。

出版から2年近く経つのですが、先日、出版社の人から連絡があり、今も月100冊ぐらい注文が続いているとのこと。ベストセラーとはいかないが、ロングセラーだそうです。

連絡があったのは、amazon.co.jp の『なか見!検索』プログラムへの提供を承諾してもらいたいという趣旨でした。OKの返事をしましたから、近日中にサービス開始されることでしょう。

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2007年6月15日 (金)

「北風と太陽」論を超えて――「旅人」の視点

イソップ寓話の「北風と太陽」は誰でもご存知でしょう。旅人の上着を脱がす力くらべの話です。(文末に参照先)

ビジネスの世界では対人――とくに対部下――マネジメントにおいて、北風のように強制的にやらせるのではなく、太陽のように相手に自発的な行動を促すほうが良い、という趣旨で語られるようです。

それはそれで、間違っていないと思いますが――。
何かおかしいと思いませんか?


旅人が太陽の意図を知ったらどう思うでしょう? 旅人は何のために上着を脱がされたのでしょう? もちろん寓話のように「力比べ」でないことを祈りますが、旅人はわけを知る由もありません。

今、対人マネジメントにおいて大切なことは、旅人がどこに向かおうとしているか、を尊重することではないでしょうか? 「行き先」(キャリア上の目標、夢)や「旅の目的」(働きがい、使命感)に関心を払う、つまり、「北風か太陽か」ではなく、視点を「旅人」に向けなくてはならないのです。

旅人の視点に全面的に与せよという趣旨ではありません。旅人と太陽が同じ組織の一員として理念や目標を共有しているかぎり、「上着を脱ぐ」べき状況、例えば売上目標をもって会社の商品を売るべき状況、が起こるのは当然です。

大切なのは、旅人が、太陽とともに歩む「旅」の中に、「上着を脱ぐ」行為を意味あることとして位置づけていることです。

それが自然にできていれば、旅人は上着を脱ぐだけでなく、旅を豊かにするさまざまな創意工夫を生み出してくれるはずです。 マネジメントに「旅人」の視点を!

「北風と太陽」の話

Wikipedia 「北風と太陽」
「物事に対して厳罰で臨む態度と、寛容的に対応する態度の対比を表す言葉」として説明されている。

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2007年6月 6日 (水)

フラットな関係における「聞き方」

近ごろは「聞き方」と言えば「傾聴」と来るのが当たり前のようだが、ビジネスにおける「聞き方」はもう一つある。「上司から指示を受けるときの聞き方」だ。

もう当たり前になってしまっている人がほとんどだろうが、会社に入ったら最初に誰もがこれを教わる。こちらは「指示内容」に焦点を当てる聞き方。

他方、「傾聴」はご存知の通り「相手を理解すること」に焦点を当てる。研修では、上司(マネジャー、リーダー)が学ぶことが多く、「相手」に部下を想定している。セールス職が「相手」に顧客を想定して学ぶことも多い。

つまり上司-部下の関係で言うと、どちらの「聞き方」をするかは立場で決まるのだ。部下は「指示を受けるときの聞き方」をし、上司は「傾聴」をする。わかりやすい。


ところで、フラットな組織やチームで仕事をする場合はどうか?
立場が明確でなくなるせいで、基本を忘れがちではないだろうか?

フラットな関係においても「傾聴」が大切なのは、強調するまでもないだろう。
しかし、合意事項や「誰が、何を、いつまでに行うのか」といった点の確認を、つい省略してしまうことが多くないだろうか? 

「指示を受けるとき」のように、最後に互いに要点を確認するクセをつけたい。


◆「指示の受け方」について詳しく書かれているのはここ。
B検ナビ(ビジネス能力検定の関連サイト) 第3回 指示の受け方について

株式会社GLOVA コミュニケーション講座 Lesson 2 指示には受け方がある

 

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2007年6月 5日 (火)

営業リーダーの使命は「部下育成」

山本藤光(コラボプラン代表)著 「人間系ナレッジ・マネジメント」

たまたま知り合った同業の方からいただいた本。
思いのほか私の考えにフィットする内容で、学ぶところがものすごく多い。

営業の人材育成には研修だけでは不十分で、上司の営業同行によるきちんとしたOJTが最も効果的だ、と主張する。

私の独断だが、この本の圧巻は次の部分。

 営業リーダーの使命を、未だに「業績向上」としている企業がある。時代遅れも甚だしい。大切なのは「部下育成」である。そちらにフォーカスを充てなければならない。心配することはない。自動的に、業績はついてくるのだから。(p.194)

これは目からウロコものだ。私を含め、日頃から人材育成の重要性を強調する立場の人間でも、この単純な優先順位を見過ごしていたのではないか?

上司の仕事としては、部下育成が業績向上よりも先なのだ。

もちろん、業績向上に結びつかない育成はピント外れであるし、完全な個人プレーではなく、部下どうしの協力関係なども大切だ。そうした内容にもきちんと触れられている。

著者の製薬会社でのMR育成経験をベースに書かれているが、他の営業職の育成にも広く適用できる。お勧めの一冊。

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2007年6月 1日 (金)

関与型リーダー: ミンツバーグのリーダー論より

「MBAが会社を滅ぼす」(日経BP社)で、改めて注目されている
ヘンリー・ミンツバーグ博士。

彼のリーダー論が日経ビジネスオンラインに掲載されている。
(連日、同じソースが続いてしまって恐縮だが・・・)
これがなかなか面白い。

とくに、リーダーに求められる要素として、クラフト(=経験)、アート(=ビジョン)、サイエンス(=分析)の3つを挙げた上で、この3要素のバランス別に、マネジメントのスタイルをポジショニングしているところ。
たとえば、ビジョン型は「アート」寄りに位置づけられている。
(ぜひ、下記記事中の図をご覧ください)

この中で、ミンツバーグ氏は、「関与型(engaging)」こそ、昨今求められるべきマネジメントだと述べている。関与型はクラフト寄りのポジションだ。
(※ちなみに下記記事では、マネジメントとリーダー/リーダーシップという言葉は、ほとんど区別されていない)

ほかにも、なかなか示唆に富む内容が書かれているので、リーダーシップやマネジメントのスタイルに興味のある方、リーダー、マネジャー人材の育成に関わる方にお勧めします。

MBA型リーダーは企業を破綻させる米国をまねる日本企業の落とし穴 (経営リーダーの育て方):NBonline(日経ビジネス オンライン)
(ログインが必要な場合があるかも知れません。あしからずご了承ください。)

 

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