「北風と太陽」論を超えて――「旅人」の視点
イソップ寓話の「北風と太陽」は誰でもご存知でしょう。旅人の上着を脱がす力くらべの話です。(文末に参照先)
ビジネスの世界では対人――とくに対部下――マネジメントにおいて、北風のように強制的にやらせるのではなく、太陽のように相手に自発的な行動を促すほうが良い、という趣旨で語られるようです。
それはそれで、間違っていないと思いますが――。
何かおかしいと思いませんか?
旅人が太陽の意図を知ったらどう思うでしょう? 旅人は何のために上着を脱がされたのでしょう? もちろん寓話のように「力比べ」でないことを祈りますが、旅人はわけを知る由もありません。
今、対人マネジメントにおいて大切なことは、旅人がどこに向かおうとしているか、を尊重することではないでしょうか? 「行き先」(キャリア上の目標、夢)や「旅の目的」(働きがい、使命感)に関心を払う、つまり、「北風か太陽か」ではなく、視点を「旅人」に向けなくてはならないのです。
旅人の視点に全面的に与せよという趣旨ではありません。旅人と太陽が同じ組織の一員として理念や目標を共有しているかぎり、「上着を脱ぐ」べき状況、例えば売上目標をもって会社の商品を売るべき状況、が起こるのは当然です。
大切なのは、旅人が、太陽とともに歩む「旅」の中に、「上着を脱ぐ」行為を意味あることとして位置づけていることです。
それが自然にできていれば、旅人は上着を脱ぐだけでなく、旅を豊かにするさまざまな創意工夫を生み出してくれるはずです。 マネジメントに「旅人」の視点を!
●Wikipedia 「北風と太陽」
「物事に対して厳罰で臨む態度と、寛容的に対応する態度の対比を表す言葉」として説明されている。
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