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2009年3月19日 (木)

日教組宿泊拒否問題で書類送検のニュース

1年半ほど前の2007年11月、グランドプリンスホテル新高輪が日教組(日本教職員組合)の集会の会場使用契約を解除した事件がありました。

その件で、警視庁が同ホテル運営会社のプリンスホテル(法人)と社長らを書類送検した、との記事が昨日の新聞にありました。(※1,2)

ところがよく読むと少し変です。

送検理由となった旅館業法違反容疑は「宿泊拒否」。ホテル側は、会場の契約キャンセルと同時に集会参加予定者の宿泊予約も取り消したとありますが、法律では宿泊以外の宴会場などの使用拒否は禁止されていないらしいのです。

まるで別件逮捕みたいな話です(違うんですが)。

警視庁も悩んだことでしょうけれど、少なくとも適切な企業行動を促す解決策とは思えません。今後、ホテルは会場の使用拒否をしても、宿泊拒否をしなければいいという話にならないでしょうか?

この件で日教組がホテル側に対して損害賠償訴訟を起こしているのも、同じく適切な解決策とは思えません。会場使用を断るホテルが増えるだけではないでしょうか?

昨日の新聞には「右翼団体の街宣活動の可能性などを理由に」と書かれているだけですが、事件後まもない時期の日経ビジネスでホテル側の人が主張していたのは、他の宿泊者や近隣の学校や住民への配慮だったように記憶しています。それは経営の感覚からすると十分理解できるものでした。

この場合、原因は周囲に迷惑をかけるような音で街宣活動をする人たちなのですが、罪に問える行為ではないのでしょう。一方で、日教組が集会を行えなくなれば、そうした街宣活動をする人たちの思うつぼでしょう。

日教組は、自分たちの集会が結果的に、ホテル、宿泊者や近隣の人たちを巻き込むことを認めたうえで、ホテル側や警察、近隣の人たちと協力すべきではないでしょうか?

警察はホテルを別件で立件するのではなく、次にこういうことが起こらないように、解決策や問題の緩和策を協議すべきでしょう。

ホテル側も(有無は確認していませんが)警察と連携を図るなどの方策を探るべきだったのだと思います。

決して口で言うほど簡単なことではありません。しかし、現代社会で求められる企業の社会的責任というのは、そういう取り組みなんだろうと思います。

※1:日経新聞2009/03/17付夕刊、社会面「プリンスホテル書類送検」
※2:書類送検というのは身柄を拘束せずに「検察官送致」することらしい。そのあと検察官が裁判所に起訴するかどうか決めるのだそうです。

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