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2009年3月10日 (火)

「フルコスト主義」

今週の日経ビジネスの特集は「人を切らない経営  雇用騒乱 社員はコストか」。

記事中で紹介される、ダンボール国内最大手レンゴーの大坪社長が実践するのが表題の「フルコスト主義」です。(※1)

「資本」「税」「社会」「労働」への再分配をすべて費用として価格を決める考え方
だそうです。

ふつうのコストの考え方とどこが違うのでしょう?

「これまでの製造業は限界利益を追うことばかりを考えてきた」ために、固定費である人件費を削減し、さらに変動費化した非正規社員の人件費削減にまで踏み込んでいるのが現状だといいます。

一方、フルコスト主義は「労働への再分配」も製品価格の決定要素になり、「取引先にフルコスト主義が認められなければ、ウチは仕事を休ませてもらう、という強い意志が必要」だと説きます。その姿勢で値上げ交渉に挑んで実現したことがあるのだそうです。

ちょっと違いがわかりにくいかもしれません。要するに原材料や設備などの費用はメーカーとしてコストダウン努力の対象にするけれど、本来必要な人件費(労働への再分配)はコストダウン努力の対象にしない。それよりも、こうしたコストを確保できる価格水準を実現する努力をせよ、ということだと解釈できます。


ちなみに、日経ビジネスはここ2,3年、わりとはっきりと従業員を大切にする論調が感じられます。経営者層が中心読者というイメージがありますが、おもねることなく、警鐘や新しい経営のあり方をメッセージとして発信するという姿勢でしょうか。

※1:日経ビジネス 2009年3月9日号 pp.28-30 「派遣を正社員化する真意  レンゴー・大坪社長、均等待遇への通過点」より

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