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2009年5月30日 (土)

国会議員の「世襲」問題について

国会議員の「世襲」を問題にする議論が続いている。ただ、「世襲議員自体がよくない」というロジックではうまくいかないだろう。


「世襲」を厳密に定義しようとすると、「現職が引退する場合に、三親等以内の親族が、同一選挙区で」というような話になったりするが(※1)、これは規制をするための定義であって、私たちが問題を感じる「世襲」を的確に捉えているとは言えない。


「国会議員になる人が一部の家族の人たちばかりになりつつあることへの懸念」が「世襲」批判を招いているのではないか?


現在の麻生首相は祖父が吉田茂元首相で、前首相の福田氏も父が首相経験者で、その前の安倍首相も父が大臣経験者で、野党の方も民主党代表の鳩山由紀夫氏は祖父が鳩山元首相、とくれば、与野党ともに一部の家系が権力の中枢を握っている、という印象をまぬかれない。

その意味では、衆議院議長の河野洋平氏の息子である自民党の河野太郎議員は、「現職の引退」もなく「同一選挙区」でもないので「世襲」とは言いにくいが、親子で国会議員という点では先の懸念の一因になっているのは間違いない。


個々の「世襲」議員、もしくは元職や現職の国会議員を近しい親族に持つ国会議員が、とりわけ資質に欠けているとか、とりわけ不適格であると主張するには、粗探しをするしかないだろう。

なによりも選挙で選ばれたという事実が大きい。有利な条件があるとはいえ、選挙区の有権者の選択の結果であるのは間違いない。しかし、その集積が、衆議院全体で3割弱、自民党は3割強という状況を招いている。(※2)

とすれば、「一部の家族の人たちばかり」という「集積的な結果」を招かないようにすることが大切だ。世襲制限などの規定は、そうした集積的な結果についての数値目標を持って設定すべきだろう。

とりあえず、今回はここまで。

※1: 国会議員の河野太郎氏はメールマガジン「ごまめの歯ぎしり」(mag2 0000006653)09年4月24日号で、次のように述べている。
例えば、「国政選挙、都道府県議会選挙および首長選挙で、
現職が引退する場合、直近の選挙または補欠選挙では、三親等以内のものは同一選挙区では我が党は公認しない」というルールを自民党が作ってもよいのではないか。
・「三親等」だと甥・姪の配偶者までは入るらしい。
詳しくはドコモの家族割を説明した図がわかりやすい。http://doplaza.at.webry.info/200701/article_11.html

※2:次のサイトを参照:http://anond.hatelabo.jp/20081024092656 (「世襲」の定義が確認できない)
他にもこんなデータが:http://imogayu.blogspot.com/2009/03/blog-post_21.html
(自民党の世襲議員は増えていないらしい)

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