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2009年5月19日 (火)

繰延税金資産(2)

前の記事からの続きです。

これまでに、
繰延税金資産は「前払いした税金」のことで、
1)なぜそれが資産なのか、
2)なぜ税金を前払いするのか、
を見てきました。

最後に残りの
3)なぜ取り崩す必要があるのか、
という点を見ていきましょう。

3)なぜ取り崩す必要があるのか、

2)の説明の例では、翌年度以降も税引前利益が黒字で「税金がかかる」ことを前提にしていました。
ところが、翌年度以降に税引前利益が出ず、税金がかからなければどうでしょう?

「前払いした税金」は、
「(税務会計にもとづいて)今年度納めた税金の一部を、
財務会計の立場で翌年度以降の分とみなした金額」ですから、
翌年度以降赤字になって、そもそも「翌年度以降にかかる税金」がなくなれば、価値がなくなってしまいます。

したがって、しばらく赤字が続きそうな場合には、資産としての価値を認めるわけにいかないので、資産から消します。
「取り崩す」と言いますが、元々払ってしまった税金ですから手元には何も残りません。取り崩した分だけ(税引後)当期純利益が減ります。(※6)

これで、「黒字化が遅れそうなので繰延税金資産を取り崩す」という企業の説明は、「翌年度以降の税金を前払いしたつもりでいたけれど、黒字という前提が崩れたので、その資産価値がなくなったものとします」という趣旨だとわかるでしょう。

※6: 繰延税金資産の減少に対応するのは、《法人税等調整額》の減少。《法人税等調整額》は、法人税等の控除(引き算)項目なので、結局、税引前利益の足し算項目になる。それが減ると当然、税引後の利益が減る。

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