サトーの経営体制
「不屈の理念企業 逆風はね返す身の丈改革」を特集した4月20日号の日経ビジネスにサトーという会社が紹介されています。(※1、2)
その経営体制が、1つの「オープンな組織&エンパワーされた社員」のあり方を示しています。
1)12名の取締役のうち、過半を占める7名(うち5名が社外取締役)は、執行役員会のメンバーでない。(※3) 取締役会議長は輪番制で、取締役に序列がない。
2)執行役員会のメンバーによる経営会議には、現場から推薦された社員が出席する。その内容はイントラネットで公開される。
1)のうち、経営と執行の分離は最近ではよくありますが、議長の輪番制というは聞いたことがありません。
2)は時々見かけます。もっと踏み込んで経営会議の傍聴が自由にできる、というケースもあります。
これだけなら、それほど特殊とは言えないかもしれません。大きなポイントは、記事の中心になっている「三行提報」という制度です。これが「エンパワーされた社員」づくりに役立っています。
「3行127字の範囲で、身の回りで気づいたことや、その改善案を社内システムに打ち込んで提出する。ミソは全社員が1日たりとも欠かさず出さなければならないこと。サボれば昇進の道は断たれる。1日当たりの提出件数は約1900件(海外分も含む)で、あて先はすべて経営トップである。トップは50件前後までふるいに掛けられた中から、目を引いた提案に対してコメントを添えて返信。現場はすぐさま実行に移す。」
当然、些細な内容がほとんどになりますが、全社員が1日1件を課されることで、現場を観察し、疑問を持ち、改善策を練ることになるのです。そうすることで、経営に参加する意識と、考える癖がつくのだと思います。
ちなみに同社はコンサルティング会社を出入り禁止にしているそうです。外部の人に指摘されるような問題は、社員がすでに気づいているからだと言います。
※1: 日経ビジネス 2009/04/20号 p.28−30 特集内「身の丈測り、強さ生む サトー3行の提案が会社を動かす」
※2: 株式会社サトーのサイト http://www.sato.co.jp/
従業員 連結:3,541名、単体:1,309名
売上高 連結:877億円、単体:607億円(2007年度)
※3: 記事には「社外取締役が過半を占める」とされていますが、p.29の図によれば、社外取締役は5名、社内取締役が4名のほかに、代表取締役が3名います。会社サイトでもそのようになっています。したがって、上に記したように「執行役員でない取締役が過半を占める」が適切です。
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