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2009年5月 7日 (木)

債務残高GDP比168%の受け止め方

政府長期債務残高が増えているという話は、GDP比での大きさよりも、拡大に依存した財政・経済の体質を問題にしなくてはならない。



4月30日に財務省が公表した見通しによると、国と地方を合わせた長期債務残高の対GDP比率が2009年度末に168.5%になるという。(※1)

政府の借金が「GDPの1.7倍」という数字がどれほど深刻かについてはよく論じられているが、政府が破綻するか否かの基準の線引きが難しく、簡単に決着がつかない。


むしろ注目すべきは、その増加ペース

1992年度末には、301兆円、GDP比62.2%だったものが、
17年後の2009年度末には、816兆円、GDP比168.5%になる。(※2,3)

つまり、過去17年間の平均で年30兆円ずつ借金を増やしている

30兆円は、GDPの約6%に相当する。
(この間の名目GDP成長率は年0.5%)(※4)

30兆円は、国と地方の政府歳出規模の20%に相当する。
つまり、政府支出の2割が毎年「新たな借金」で賄われている。(※5)


この借金拡大体質、政府の体質だけでなく、日本経済の体質、それを容認してしまう日本政治、国民の体質こそ問題にされなくてはならない。

国民の側で言うと、私たち自身がこの借金依存財政・経済の現実と向き合って、体質変革の覚悟を決めなくてはならない

メタボのレッテルを貼られたおじさんたちだって、努力してるじゃないか!
病気で倒れるまで生活を変えない、というのは許されないだろう。



※1: 2009/05/01付 日経新聞 経済2面 「債務残高 GDP比168%に 財務省見通し
今年度、補正など反映」による。記事によれば、今年度補正予算案や政府経済見通しの下方修正を反映した数字だと言う。
●ネット記事はこちら:http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090430AT3S3001M30042009.html
●反映前の数字はこちら(財務省サイト,PDF):http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/siryou/sy2104g.pdf
(09年度末見通しで、804兆円、157.5%になっている)

※2: 1992年度末の値はこちら(財務省サイト,PDF):http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/siryou/sy1403h.pdf
2009年度末の値は、※1の記事より

※3: 国の一般会計歳出と税収のギャップが広がったのは90年代前半からであることが、次のチャートからよくわかる。(財務省サイト)http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/sy014/sy014b.htm

※4: GDPを平均500兆円とした。成長率0.5%は各年度の値の単純平均。
1993年度(平成5年度)から2008年度(平成20年度)までのGDPと成長率はこちらを参照。(財務省サイト,エクセル)www.mof.go.jp/kankou/hyou/g673/673_01.xls

※5: この17年間の平均で、国の一般会計が80兆円強、地方の普通会計が90兆円余り、合計(純額)が150兆円弱。30兆円は150兆円の20%に相当する。データはこちらを参照(※4と同じ。財務省サイト,エクセル)www.mof.go.jp/kankou/hyou/g673/673_01.xls

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