2008年度に破綻した企業の安全性指標
財務分析で、安全性指標と言えば、まず出てくるのが《流動比率》と《固定比率》。
《流動比率》は、短期の支払い能力を表し、100%以上必要で、200%以上が望ましいとされます。
《固定比率》は、より長期的な財務構造の安定性を表し、100%未満が望ましいとされます。
でもその基準、どれぐらい「あて」になるの? ということで、2008年度に破綻した上場企業43社について、簡単な調査・分析を行いました。
◇結論
◇グラフの説明
棒グラフが《流動比率》で、左寄りの赤い部分が200%以上の企業。中央の濃いピンクが200%未満、100%以上で、右寄りの薄いピンクが100%未満。100%以上でも破綻しているところが多数あるので、100%以上は目印になりません。
青い折れ線は《固定比率》で、100%以下の企業は白抜きの◇で表されています。破綻企業の4割弱が100%以下の条件を満たしており、これも目印にはなりません。
ちなみに、《固定長期適合率》が100%以下、という企業は、《流動比率》が100%以上、という企業とほとんど一致しています。(計算式からも推測がつきます。) どっちにしても安全性の目印としては役立たないわけですが。
◇分析上の注意点
破綻していない企業の安全性指標と比較したわけではありません。 あくまで、「破綻前」の決算書を見て、流動比率や固定比率の基準値を手がかりにすれば、「安全でない」という予測ができたか、という視点です。
また、2008年度に破綻した企業は、不動産と建設の2業種で7割を占めています。不動産の市況が急速に悪化したことが破綻要因になっているので、2008年度のデータには、そうした特徴(偏り)があることにも注意が必要です。
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