NPVの精度はどうなのか?
投資プロジェクトの収益性を評価する指標として「NPV(正味現在価値)」などが使われます。こうした指標にもとづいて意思決定を行うわけですが、さて、どれほどの精度があるのでしょう?
NPVを求める計算式は、管理会計やファイナンスの本に載っています。実際にNPVを算出する際のポイントは、将来得られるキャッシュフローの見積りです。
キャッシュフローの見積りのためには、いくつもの仮定をおいて数値を積み上げるよりほかありません。
その結果のNPVです。どれほどの精度があるでしょうか?
◇◇◇
最大の問題は売上の予測です。
コスト改善だけの投資(ex.設備の更新)であれば問題ないでしょう。
しかし売上予測を伴う場合には、元データの精度が高くなければ、計算結果はフィクション(創り物)にしかなりません。
現実には
「黒字になるためには、これだけのシェアや販売量が必要だから」
という理由で、元データが設定されるケースもあると聞きます。
そうなると意思決定の判断指標としてのNPVの意味は、ほとんどなくなります。
決めるほうも、上がってくる資料がそうした前提で作られていることをわかっているので、割引いて受け取ります。
「定量化されたものに、解釈を加えて読む」
ということをやっているのです。これでは、定量化した効果が激減です。
だからといって、「NPVは参考程度」、ではもったいない。
むしろ、用いた元データの精度と、それがぶれた時のNPVへのインパクトを、定量的に把握しておくことが重要です。
◇◇◇
現在、開発に取り組んでいるプログラムでは、
1)プロジェクトについての戦略案を数値化(定量化)する段階と、
2)個々の数値のNPVへのインパクトを調べる(感度分析をする)段階
に分けて、この問題への対処方法を学びます。
年内にトライアルを行い、年明けにリリースする計画です。
また追ってご紹介したいと思います。
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント