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2010年2月

2010年2月28日 (日)

強みを伸ばすこと、ポジティブな捉え方をすること

先日、地方のある大学の学生さんたちに会う機会がありました。ちょっと気の利いた話でもできればよかったのですが、慣れないものですぐに出てこない。あとで反省して、次に話すならこんなことかな、と考えました。


人材育成の業界にいると、能力開発や成長がどうあるべきかについて、話を聞いたり本を読んだりして、情報を得ることが多い。そこで感じるのは、2つの大きな潮流がある、ということ。


1つは、強みを伸ばすこと。当たり前に聞こえるかもしれませんが、「できないことをできるようになる」、「知らないことを吸収する」、という「学習」「能力開発」の基本的なイメージは、弱みの克服の色彩が濃い。強みを伸ばす、という考え方は、その基本的なイメージを変えるところから始めなくてはならない。

つまり、「できることを、もっとうまくできるようになる」、「知っている分野のことを、もっと詳しく学ぶ」、これを、「できないこと」、「知らないこと」よりも優先するのが、「強みを伸ばす」の本当の意味だ。

もちろん、これから就職しようという学生さんたちに、そういうアドバイスをするのは誤解の元かもしれない。少なくとも現在の社会では、社会人なら最低限これぐらい、というラインがあって、就職すると先ずそれを身に付けることが求められる。それを否定するつもりはない。

でも、その次のステップでは、角が丸くなってしまう前に、ちょっとトンガっていってもいいんだろう、と思う。慎重な言い方をするなら、組織風土にもよるのだけれど。


もう1つの大きな潮流は、ポジティブな捉え方をすること。従来は、うまくいっていないこと、いわゆる問題を特定して、それをつぶす(解決する)、というのが、目標達成のための基本活動だった。私自身、根っから、そういう思考方法をとる。

こうした問題解決中心のアプローチを否定するわけではないけれど、ポジティブな捉え方では、必ずしもそれにこだわらない。問題を直接的に解決しなくたって、目標が達成できればよい、と考える。おそらく最近の心理学の成果を受けているのだと思う。ダメな部分に注目するよりも、うまくいっていること、うまくいく状態に目を向けるほうが、人間の力が発揮されやすいらしい。

ところで、この2つのトレンドはつながっていると思う。強みを伸ばすことは、まさにポジティブな捉え方の1つと言える。弱みに目を向けて自信を持てないでいるより、強みに目を向けて自信と意欲を持つ方がポジティブだ。

また、伸ばした強みを「活かす」ためには、お互いポジティブな捉え方をする人々による組織が欠かせない。弱みは組織的に補い合えばよい。それでも補えない弱みは、他の組織に委ねればよい、と考える。


これらの潮流は、統計的な事実として確認できるわけではないけれど、私自身ははっきりと感じているし、周りでもそういう見方の人が増えているように思う。まだ企業の人材育成の世界でも多数派を占めるに至ってないかもしれないが、これから就職する人たちは、知っておいて損はないと思う。

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トラ4000頭

正月から2ヶ月も経って、トラを話題にする時季はもう過ぎてしまったのだが、ぜひ書いておきたかったので、今さらながら。

トラは誰もが知っている動物だが、今や、全世界にわずか4000頭前後しか生息していないのだという。

年末に届いた WWFジャパン (World Wide Fund for Nature Japan)の会報紙で初めてそのことを知った。

それによると、推定総個体数は 3,402〜5,162頭。4000頭というのは概数だ。そんなに少ないものかと驚く。(驚きませんか?)
100年前には10万頭いたらしい。それでも決して多くないような気がするけれど、そんなものかな、と納得する。しかし、4000頭は少なすぎる。

4000頭と言っても、トラにはいくつかの種類がいて、生息地域も、極東ロシアから、インド、インドシナ、スマトラ島など広く分布しているので、各地域ではもっと少ない。

このままでは、伝説の動物になってしまうのではないかと心配になる。私たちの世代で絶滅させてしまわないようにしなければと思う。


◆トラの推定個体数について、詳しくはこちらを。
http://www.wwf.or.jp/activities/2009/01/604813.html
※ちなみにアフリカにはいない。(恥ずかしながら、アフリカにもいそうな気がしていたけど、そもそも棲んでないみたいです。)

◆WWF は元は、World Wildlife Fund
(世界野生生物基金)としてスタートしているが、現在は、上記の通り、世界自然保護基金、として活動領域を広げている。パンダのロゴマークで有名。月々500円から会員になれる。会員になれば、2ヶ月に1回、会報紙が送られてくるので、自然保護についての情報に触れる機会が得られる。http://www.wwf.or.jp/

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2010年2月 4日 (木)

コンテンツorコミュニケーション (その2)

このタイトルの記事、「続きを年内目標」と書いたのに、もう2月!
(もう、前の記事の内容忘れました?)


〈勝間和代〉――今日はこの人をネタに。

この人は、知り合いではなく、人物というより著者なので、「さん」づけせずに、〈〉の中に入れておきます。
さらに断っておくと、〈勝間和代〉の研究をしているわけじゃないので、誤解も多々あると思う。その点は、ご了承ください。


〈勝間和代〉についてどう思いますか?

周りの同世代男性に聞いてみると、好意的でない反応が多い。オリジナリティがない、とか。

好意的でない理由は共通しているように思える――自分たちも知っていて、商売道具として使っているセオリーなどをネタにして、ベストセラーを出されちゃったからだ。

これを僕は、「嫉妬」と呼ぶ。(陰口にならないように本人の前で言うようにしています。)

気持ちはわからなくない。僕も当初は同じような思いを抱いた一人だから。しかし、やがてある仮説にたどり着いた。(雑誌か何かで〈勝間和代〉本人が書いていたことが、ヒントになったような気がする。)

この人の真髄はコミュニケーションにあって、コンテンツ(ただし狭い意味のコンテンツ)ではないのだと。

〈勝間和代〉の初期のベストセラーの内容は、ビジネスマネジメント界の定番となっているセオリーを、自分なりに応用してみて、こんな風に「人生」に役立つよ、とわかりやすく表現したものだと思う。

マネジメント界のコアなセオリーは、従来ほとんど男性陣が支配して来たもので、当然ビジネスに適用され、「人生」にはあまり適用されてこなかった。

それを〈勝間和代〉が、誰でも使いやすいレシピを付けてリリースした。つまり、応用と伝達を上手くやった。そういう構造なんじゃないだろうか?

〈勝間和代〉は、比較的女性受けが良いという印象がある。しかし、マネジメント界のセオリーを仕事で使っている周りの女性に聞いてみると、男性の反応に近かった。これが仮説の裏づけの一つになっている。

そして、論理の飛躍を承知の上で言えば、〈勝間和代〉のヒットは、現代がコミュニケーション優位の時代であることを示唆している。

20世紀に作られたセオリーのパラダイムがくつがえってしまうにはまだ早く、しかし、一握りの人たちだけが持っていた知識が爆発的に普及するほどコミュニケーションコストが低下した時代。

社会の組織化のあり方、人々のつながり方が劇的に変わる。そこでは、既存のコンテンツ、つまり定番化したセオリー、をベースに、その使われ方、組み合わせ方が爆発的に多様化するのではないだろうか?

それによってパラダイムが変わり、新たなに乱立したセオリーが定番化するのは、その次の段階だと思う。それまでは、コミュニケーション優位の時代が続くと予想する。

コンテンツ派は、自分の活かし方を工夫しないといけないと思う。

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