桜の季節を迎えて
今朝、近所に完成したばかりのアパートのドアが開き、住人らしい人が鍵を閉めて出ていくのを見かける。ほんの2,3日前に道路際に植栽がされたばかりだったのに――。そうか、明日はもう4月1日。多くの人が新年度を迎える。(NHKはすでに月曜から新しい番組編成に変わっている!)
今年は桜の開花が6日(?)も早くて、晴れやかな気分と同時に、いくぶん急き立てられているような気持ちになったけれど、天気が待ったをかけてくれた。おかげで心の準備が少し追いついた気がする。
視点を変えて、景気の状況はというと、新興国の需要が力強いらしく、去年の今頃に比べれば持ち直しているけれど、楽観はできない。他方、政治は政権交代後の混迷が続いていて、少なくとも私たち庶民には先々の見通しが立たず、借金だけが膨らんでいくように見える。
そんな中でも、私たちは春を迎えて桜を楽しみ、年度の替わり目を迎えてリフレッシュした気持ちで新しいこと取り組む。社会の経済や政治の状況が明るくないからといって、日々の生活まで暗くならず、楽しさを見出しながら、前向きに日常に取り組むのが人間の良さだと思う。
この、いわばマクロとミクロのギャップをどのように埋めるか、活かすか、というのが現代社会の課題だと思う。悲観的にならず、ただ批判的にならず、手の届く範囲のことから、より大きな社会のことへと意識と行動を広げていくには、どうすればよいのだろう。
小さな会社で仕事をしていると両者はまったく別世界のことのように思える。少なくとも、より大きな社会の影響を受けることはあっても、その逆はほとんど感じられない。とても大きな会社で仕事をしている人にとっては、自分の仕事と会社全体の業績の間に同じような距離を感じることだろう。
ほとんどの人にとっては、ギャップは努力の倍増で解消できるものではない。では、やれることがないのかと言うとそうでもない。一種の「あり方」みたいなもの、意識の持ち方ではないかと思う。「自分にできること」の範囲を少し広げて考えてみて、その中から「自分がやるべきこと」を見つけ出す――その程度のこと。
それが当たり前のように集積されたとき、ギャップが縮まり始めて、誰もが桜の美しさに心を奪われなくても晴れやかな気持ちになる――そう信じて4月を迎えようと思う。
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