偽薬の効果を活かす
日曜日の日経新聞に「偽薬(プラセボ)効果」についての記事が出ていた。(※)
「人間の場合、偽物でそれを知らずに薬だと信じて飲めば、不思議なことに一定の治療効果が表われる」。これがよく知られている「偽薬(プラセボ)効果」。精神疾患や痛みの治療で顕著な効果が表われることが多く、感染症では表われにくいという。
「病は気から」と言うが、「気」を「気持ちの持ちよう」とすると、まさにプラセボ効果を織り込んだ経験則だ。しかし、私たちは「気」だけでなんとかなる病気ばかりでないことを知っている。
つまり、ある種の問題は脳をだますだけで解決・緩和する。しかし、だますだけでは解決にならない問題もある。
「脳をだます」などという言い方は、いかにも非科学的な感じがするが、これは科学的ではないのだろうか?
記事によれば、効果の存在自体は科学的に確認されているが、科学的に解明できるかどうかは、意見が割れるのだという。入口と出口は確認できているが、途中の経路――因果関係――が解明できていない、という意味だろう。
ビジネスにおいても、「脳をだます」アプローチ自体は「あり」だと思う。非科学的とは言えない。しかしながら、どういう問題に効果があるのか、については今のところ経験則の域を出ない。万能薬でないことを承知のうえで使えばよい。
同時に、どこまでだましてよいか、については倫理的・社会的な節度が必要である。行き過ぎれば「マトリックス」の世界だし、「○○バブル」や戦争時は集団的熱狂の中で脳がだまされている状態だと言える。
※日経新聞 2010/06/20付 サイエンス面 ナゾ謎かがく欄 「偽薬どうして効くの?――願望が脳内反応に影響か」
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