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2011年5月

2011年5月26日 (木)

微力の効果???

東京の地下鉄駅は計画停電の心配がなくなったあとも、多くのエスカレーターを停止したままでした。ところが昨日の朝、いつも止まっているエスカレーターが動いていたのでどうしたのかと思っていると、今朝の新聞に次の記事が。

5/26(木)付 日経新聞(東京地域面)記事
「東京メトロと都営、地下鉄のエスカレーター運転再開 」

実はGW明けの5/9に、都営地下鉄に以下の問い合わせをウェブサイト経由で出していました。ブログで主張するよりは、当事者に直接意見する方が効果があると考えたらからです。ふだん、あまりするほうではありませんが。

この効果があったと考えるのは自己満足的ではありますが、判断に影響を与える一票になったかもしれません。

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質問1: 都営地下鉄の駅では、節電のためにエスカレーターを止めているところが何カ所も見られますが、なんのために節電しているのでしょうか?

5月は電力は不足していません。エスカレーターが止まっていると困る利用者は大勢いると思います。利用者に不便をかけてまで節電する理由がわかりません。

質問2: 節電効果いったいどれだけ得られたのでしょうか?(4月1ヵ月間について回答いただけますか?)

不便をかけることを承知のうえで節電をするのであれば、どれだけ節電できたのか(ワット数、費用)を明示する責任があると思います
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※都営地下鉄を選んだ理由は、メトロ地下鉄よりも止まっているエスカレーターが多い印象があったからです。

※なお、回答希望欄があったので「必要」を選択しましたが、今のところ回答は来ていません。

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「・・・放射線へのご心配にお答えします。」厚生労働省パンフレット

一昨日(5/24)、保育園にお迎えに行ったときにもらった厚生労働省のパンフレット。


読んでみてびっくり!

余計なコメントなしで、衝撃を味わってみてください。
(個人差がありますので、衝撃を受けないこともあります。予めご了承ください。)


「妊娠中の方、小さなお子さんをもつお母さんの放射線へのご心配にお答えします。
~水と空気と食べものの安心のために~」 厚生労働省

「201105.pdf」をダウンロード

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2011年5月23日 (月)

武田薬品の財務状態: 1兆円超の買収でも高い安全性

国内製薬トップ、武田薬品工業によるスイスの製薬大手、ナイコメッド社買収がニュースになりました。

買収総額は1兆1136億円(96億ユーロ)。日本企業による外国企業の買収としては過去3番目に大きな規模のものだそうです。武田薬品の前期の売上高が1兆4千億余りであることを見ても、いかに巨額のものであるかがわかります。

そもそも武田薬品は潤沢なキャッシュを持つ「キャッシュリッチ」な会社として知られており、手元資金が8700億円もあります。そのため、買収資金のうち4000~5000億円余りは手元資金でまかない、借り入れで調達するのは残りの6000~7000億円だそうです。

しかし、6000億円も借入れをしたら財務状態が一気に悪化するのでは?と心配してしまいます。どうなのでしょうか? 

単純な試算をしてみました。

結論から言うと、買収後も武田薬品の財務の安全性は十分に高い、と言えます。

根拠は、買収後も、
1)すべての元手(総資本)のうち安定的な元手(自己資本)の割合が十分に大きい、また、
2)それに比べて借金(有利子負債)が十分に小さい、さらに、
3)借金は毎年の稼ぎ(営業キャッシュフロー)と比べても十分に小さい。
この3つです。

1)すべての元手(総資本)のうち安定的な元手(自己資本)の割合が十分に大きい:

この比率、《自己資本比率》は63%になります。一般に40~50%以上あれば十分に安全性が高いとされます。平均的な数字は30-40%程度です。※ここでは、自己資本=純資産として計算しました。

2)自己資本に比べて借金(有利子負債)が十分に小さい:

《D/Eレシオ》と呼ばれるこの比率は0.28(倍)になります。一般には1倍以内だと安定的とされます。※ここでも自己資本=純資産として計算しました。

3)借金(有利子負債)は毎年の稼ぎ(営業キャッシュフロー)と比べても十分に小さい:

《有利子負債対営業キャッシュフロー倍率》は1.84倍になります。10倍を超えると過剰だとされる指標なので、2、3倍程度であれば十分に小さいと言えます。

以上より、有利子負債が6000億円増えても、武田薬品の財務面での安全性は損なわれない、と言えます。

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◆試算方法: 
武田薬品工業の2011年3月期 連結貸借対照表を基準に、以下の3つの処理を行いました: ①5100億円の手元資金を減らす、②6000億円の有利子負債を増やす、③1兆1100億円の資産を加える。

【補足〔2011/05/24〕】 誤解があるといけませんので念のために補足します。この試算は買収後の武田薬品の連結貸借対照表を予測するものではありません。実際には、ナイコメッド社が連結対象になるので、その有利子負債が加わるなどの変化も生じますが、そうした条件は織り込んでいません。(ナイコメッド社は非上場なので、財務情報はおそらく公表されていない。)

◆データ参照元 
・武田薬品工業 2011年3月期決算短信(PDF) 
http://www.takeda.co.jp/pdf/usr/default/rkj00_42534_2.pdf
・2011/05/19 日経新聞記事 武田薬品、スイス社買収を正式発表 1兆1100億円
※買収資金の調達内訳が書かれています。
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819696E3EBE2E6868DE3EBE2E7E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2

◆各指標の詳細、数値の目安についてご参考に。
・自己資本比率:  http://www.bsplcf.com/01/15/031.html  
http://www.kessansho.com/general/study/04_05.html
・D/Eレシオ: http://www.ifinance.ne.jp/glossary/account/acc059.html
・有利子負債対キャッシュフロー倍率:  http://www.exbuzzwords.com/static/keyword_539.html

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2011年5月13日 (金)

浜岡原発停止要請について

菅首相による浜岡原子力発電所の停止要請が、あまり大きく問題視されていないのが気になります。


私はこの停止要請はまずかったと考えています。こんなことが許されるのなら、民主主義は成り立ちません。まるで独裁者です。戦争に向かって進むときは、こんな具合になし崩し的に進むのではないかと心配です。さすがにそれは行き過ぎた心配だろうと言われそうですが。(笑)


何がまずかったか?

法的根拠にもとづいていない点に尽きます。お金を使うのだって、予算を国会で審議して承認を得る必要があるし、何かの政策を実現するのだって、法律を作ったり改正したりする必要があるのです。

民間企業の一事業を休止させるのには何らかの法的根拠が必要です。

もっとも、原子力発電所の安全管理には政府が関わっているので、何らかの根拠を探すことができたかも知れません。根拠があるなら、それにもとづくべきでした。省令とか、監督官庁からの通達とか、いくつかの方法が考えられたはずです。


そうした根拠なしに、なぜ単に菅首相個人の要請という形をとったのか?

理由としては、緊急性が挙げられます。しかも従来の政府の判断を改める局面なので、法的根拠がなかった可能性があります。そうであれば、首相の要請という形が許されるのでしょうか?

確かに、福島第一原発の事故状況を踏まえれば、緊急措置もしかたないんじゃないか、とも思えます。

しかし「誰が」「何を根拠に」判断を改めたのかが重要です。現状では、閣議決定なども行われておらず、菅首相個人の判断、要請でしかありません。しかも、判断の根拠が十分に明かされていません。(そのせいで、原発を抱える他の自治体の首長などが戸惑っています。)

これでは独裁者と同じです。


緊急性を重視して、やむをえず停止要請をするなら、同時に判断の根拠となる情報を開示する必要があります。仮にその情報にもとづけば停止すべきことが自明なのであれば、すぐに立法が可能でしょうから、速やかに立法の手続きを始めるべきです。

しかし、根拠となる情報は断片的にしか出されず、事後的にでも法的根拠を作ろうとする動きが見えてきません。これでは、単なる思いつきか、単純に不安に駆られただけ、と言われても否定できません。


さらに、やむをえず停止要請をするなら、公表をせず内々に中部電力に伝える方法があったはずです。これは立派な政治的圧力ですが、それでも中部電力には、断るなり、法的根拠を出すように逆に要請するなりの方法がとりやすかったはずです。

しかし、停止要請を大々的に公表してしまっては、事実上、中部電力に選択肢はなかったと考えられます。透明性は高いものの、超巨大な政治的圧力であるのは間違いありません。

停止要請の公表は、判断の根拠が明確に示されなければ、壮大な「風評」と違いがありません。首相個人の判断で「あそこは危ない」と一方的に言われたわけですから。


◇ ◇ ◇


私自身は、原発を推進すべきではないという立場で、今回の福島の事故をきっかけにして、できるだけ早く脱原発を進めるべきだと考えています。浜岡原発がとりわけ危険性が高いのであれば、優先的に停止するという政策(政策転換)は歓迎します。

しかし、そのための方法がなんだっていいとは思いません。周辺住民の安全、人命がかかっていると言えば、政府・首相には何だって許されるわけではありません。

まるで独裁者のような行為をしかたがない、と受け入れてしまえば、政府の権力を制御することができなくなります。民主主義は、選挙などの民主的な手法で独裁的な権力を握る人を選出するしくみではないのです。


◇ ◇ ◇


それにしても、この停止要請がさほど問題視されていない現実をどう受け止めれば戸惑っています。

私は、菅首相については、震災後の対応のまずさ云々よりも、この停止要請だけで不信任に値すると思うのですが、日本社会全体としてはそういう流れではないようです。

日本には法治国家のしくみがなじまないのかなぁとさえ考えてしまいます。だとしたら、どういうしくみで民主的な社会を築いていけばいいのだろうと、大きな問題を突きつけられた気持ちです。

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