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2011年6月

2011年6月 3日 (金)

教育研修の体系は伝わっているか?

先日、研修でお世話になっている方と情報交換をしたときの話題から。

企業で社員に対して行われる教育研修には、よく練られた「体系」があります。個別の研修プログラムは体系の一部ですから、「マーケティング」や「財務」というメニューに分かれていても、本来は一つのことです。別の側面でしかありません。

ところが、研修の受講者にそのことが十分に伝わっているでしょうか?

十分に伝わっていなければ、研修にかける時間・エネルギー・お金に、莫大な隠れた損失(機会損失)が発生しているおそれがあります。裏返せば、そこにもっと注力すれば、はるかに大きな成果が得られる可能性があります。

体系そのものを育成対象者(受講者)に説明する活動は、意外に欠落している可能性があります。

連続したコースの場合は、冒頭に説明がありますが、選択式の場合はそうした機会が十分にありません。ガイドブックなどには書かれていても、目次代わりになってしまって、趣旨まで伝わっているとは限りません。

実施する側にとっては、別々のメニューのつながりが当たり前であっても、経験の浅い受講者にとっては、当たり前でないことがあります。例えば「接遇・マナー」と「マーケティング」がつながっているでしょうか?

近年、「現場で使える、実践的な内容」というリクエストをよくいただきますが、それは個別メニュー化された研修がバラバラなままでしか伝わっていないせいかもしれません。

個別の研修メニューを実施する立場で関わる私も、責任の一端を負っています。体系そのものについて説明することはできませんが、体系との関係、他のメニューとの関係、さらにそもそも仕事の中での位置づけなどについて、もっと時間を割いた方が成果が上がるのではないかと考えています。

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2011年6月 1日 (水)

「入門 考える技術・書く技術」

タイトルの本は、この分野で定番となったバーバラ・ミント「考える技術・書く技術」の訳者が書いた、ピラミッド・プリンシプル(ピラミッド原則)の入門書。

オリジナル(ミントの本)より、ずいぶんわかりやすい!

オリジナルの新版が出たのが1999年。その前に買って読んだのが最初なので、かれこれ15年近く前のことです。手元にある新版にも、いくつもポスト・イットが貼ったままで、何度も読み直した記憶があります。

しかし、この入門書は、かみくだいて、また日本語の特徴を踏まえて書かれているので、幅広い読者にとって身につけやすいと思います。

例えば、日本語に多い、論理的な関係が明快でない接続詞を、著者は「しりてが」接続詞と名付けて、使わないように勧めています。

「・・・・・・し、・・・・・・」
「・・・・・・であり、・・・・・・」
「・・・・・・して、・・・・・・」
「・・・・・・だが、・・・・・・」

(同書 p.62より)

こうした、前後のつながりの関係が明快でない接続詞を使わないようにするだけで、文章の論理性が高まります。(実際には使ってもいいのですが、無意識に使わずに、論理的な関係を示す言い方を考えることが重要。)

また、終章に、メールの文章での毎日のトレーニング方法まで書いてあるので、身近なところから訓練・活用ができそうです。


この分野、ロジカルシンキング、ロジカルライティングを、より幅広い人が使えるようにハードルを下げるのは、私にとって今後のテーマの一つなので、大いに参考になりました。


◇山﨑康司 「入門 考える技術・書く技術  日本人のロジカルシンキング実践法」 ダイヤモンド社、2011年 (下の左側の青い本)

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