仙台近郊の津波被災地を巡る
知人からのお誘いで、仙台の大学の先生にご案内いただく機会に恵まれ、閖上(ゆりあげ、名取市)、仙台空港、荒浜(仙台市若林区)、奥松島(仙石線野蒜駅辺り)、石巻港(門脇小学校辺り)という、いずれも津波で壊滅的な被害を受けた地域を訪ねた。
大地震と大津波から一年半以上経った今の、これらの地域の風景はどこも似ている。更地で何もないのだ。言われなければ、人が住んでいたこと、街があったこともわからない。
車でその地域に入ると、あるところから急に車の通行がほぼなくなる。その先にもきれいに舗装された道路が続くが、両側には何もない。
「ここは両側ともびっしりお店や住宅があったんですよ! 」
先生が強調してくださるのだけれど、その風景を想像するための材料すら見えない。
ごくまばらに鉄筋の建物が残っているが、面で広がる街を想像するには足りなすぎる。
被災前と被災後の航空写真が左右に並んだ本を先生に見せてもらって、目の前の景色の以前の姿を何とか想像してみるが、うまくイメージできない。
かつての写真では海岸に帯状の防風林があるけれど、見えるのは櫛の歯が欠けたような松並木だけだ。
もう少し海岸から離れると、所々に家屋が残っていて街のあった形跡がはっきりする。どれも二階建ての一階の壁が抜けていたり、一階の壊れた窓をベニヤ板で塞いであったりする。
更地の一部には水が溜まっている。地盤が沈下して雨水か海水かわからないが、水が引かなくなっている。こうした区域にはもう戻って来れないのだろう。
被災地をを訪ねて回って何か得るものがあったのかと言うと、正直よくわからない。
何か自分に役立つことを期待していたわけではないし、増してや被災した人たちの役に立てるはずもない。忘れないでいることが大事だという意識だけだ。この経験がこのあとどんな形で残っていくのか、しばらく見守りたい。
最後に、丸一日を割いて車で案内してくださったI先生に改めて感謝。お誘いくださったIさんにも感謝。
〔名取市閖上 左奥の小高い丘が神社のある日和山(ひよりやま) 背中側が海 I先生によると、被災前は周りに建物がいっぱいだったので日和山があるのがわからなかったという。〕
〔名取市閖上 日和山(ひよりやま)から海側を望む 左奥はがれきの処分場らしい 手前には何もない〕
〔名取市閖上 日和山(ひよりやま)から北側を望む 右側が海 手前に慰霊塔 何もない〕
〔名取市閖上 日和山(ひよりやま)から陸側右手を望む 何もない〕
〔石巻市立門脇小学校の前から海側を望む 左奥に石巻市立病院 小学校は山のふもとでやや高いところにあるが、ここより海側にはほとんど建物が残っていない〕
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント