エッセイ

2005年7月11日 (月)

■エアコンのウソ。

今日、エアコンのクリーニングをしてもらった。暑いなか掃除を終えてくれたおじさんが語り出した。

「さっきラジオでエアコンを大特価って言ってたけど、あれ、ほとんどウソなんだよね。」

「○○○とか△△△とか、大手の安売り電器店あるでしょ。あぁいうところのエアコンは、同じ機種でも安い部品使ってるから、見た目がまったく同じでもメーカー系列の町の電気屋さんのより安くて当たり前なんだよね。」※1

「同じ□□□□□のモノでも、型番の前半は同じでも、後半が違うんだよ。大手の安売り電器店は5000台とか発注できるから、安い部品使ってメーカーに作らせてんの。カタログ見りゃ型番が違うのがわかるよ。」※2

「その売れ残ったのが、ラジオとかの通販に回るんだよ。だから、それをメーカー希望小売価格19万いくらの品、大特価で6万いくらっていうのはウソだよね。」

「新しい機種に買い換えると、年間で電気代を12000円も節約できます、ていうのもウソに近いよね。あれ1年で9ヶ月、1日18時間運転したときの計算で、下に小さくそう書いてあるんだけど、ふつうの家だとそんなに使わないから、そんなに節約できないよ。」

「どうして、会社っていうのはウソつくのかね。」

・・・そうですよね、ウソが増えてきてる感じがしますよね、としか言いようがなかった。ちょうど「『うそつき病』がはびこるアメリカ」を読んでいたせいもあるが、なんともタイムリーな「告発」だった。

彼も会社の一員だし、僕も会社の一員だ。会社をすべて悪者にするつもりはない。おじさんは、僕が経営関係の仕事をしていると知り、会社の経営というものに一言愚痴を言いたくなったのかもしれない。

エアコンのクリーニングという仕事が儲かるのかどうか知らないが、現場はエアコンを暖房モードにするのでよけい暑いし、決してラクとは言えない地味な仕事だ。それを職業にしている人がふと漏らした、不信感、理不尽さのようなものが、やけに重く感じられた。■

※1:特定の会社の行為を批判するつもりはないので、社名はあえて伏字にする。

※2:安い部品を使っても性能は変わらないという。ただし、耐久性が劣り、早く故障したり、音がうるさくなったりするという。ちなみに、このおじさんは以前電器店で働いていたそうだ。

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2005年6月18日 (土)

■吉野家へ行こう!

うかつにも涙した。そして本日の夕食は吉野家。

牛焼肉丼(並)+ 半熟卵 + けんちん汁 (計600円)

最後は判断ですから、「何が正しい、何が正しくない」かは、時間が経過してからでないと分かりません。今は私がトップとして確信を持って方針を株主や社員に説明し、合意形成できれば、それを実行に移す。もし同意が得られなければ、私が辞めればいい。明々白々で経営しようと思っています。
(「日経ビジネス」2005年6月20日号 編集長インタビュー 安部修仁氏(吉野家ディー・アンド・シー社長)より。以下の引用も同じ。)

ご承知のように、「松屋」や「すき家」が他国産の牛肉で牛丼を復活させたのに対し、「吉野家」は米国産にこだわって、販売を休止したままである。そのせいで、売上も他社に比べて低迷が続いているらしい。

以前から細々と牛丼店通い(「牛丼店支援キャンペーン」を参照)を続けているが、「松屋」「すき家」に比べ、「吉野家」の店にはかつての賑わいが欠けているようだ。

実際、牛丼を注文するわけではなくとも、メニューバラエティが豊富な「松屋」「すき家」に比べると、基本4つしかない「吉野家」には魅力不足を感じざるをえない。

それでも、この人はぶれない。

牛丼の販売休止から、約半年での単月黒字転換。私は社員を尊敬しましたし、誇りに思います。

私は、牛丼がなくなってからずっと「今から起こる出来事1つずつを、自らの細胞に植えつけろ」と言い続けています。

倒産を経験した組織のリーダーにこそ言える、苦境に対する姿勢。この人が率いる会社を応援したい、と素直に思った。■

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