g マーケティング・経営戦略

2009年6月17日 (水)

「マックでDS」に見る商品の進化

マクドナルドが「ニンテンドーDS(R)シリーズ」を利用した店舗限定の無料コンテンツサービスを開始するというニュースがありました。
 ◇マックでDS: http://www.mcd-holdings.co.jp/news/2009/promotion/promo0615.html

私たちは直接的にはハンバーガーなどの食べ物に対してお金を払いますが、マクドナルドが顧客に提供するのは、食べ物だけでなく店舗での体験を含めたサービス全体だということです。

一時的なキャンペーンでもなく、ごく一部の店だけでもありません(全国約3,750店舗のうち約3,200店舗=85%)。

マーケティングのセオリーで膨張製品や潜在製品への拡張にあたると言えます。マクドナルドとしては価格競争の圧力に対して、高付加価値化で対抗するのでしょう。「キッズ&ファミリー」にターゲットを絞っているところから、ファミレスなどを想定競合としているのかもしれません。

もうひとつ最近気になった例を挙げましょう。

合格祈願のお守りとして有名になったネスレのキットカット。単なるチョコレート菓子を超越しつつあります。

「キットカット スルーザブレイク」という商品は、「スルーザブレイク」という音楽・ダンスユニットのデビュー曲を1曲選んでダウンロードできる、というものです。(もちろんキットカットがあって、そのパッケージにダウンロード用のシリアルナンバーが付いている。)

「夢に向かってがんばる人たちに、音楽の“応援”を贈るためにキットカットが設立した」という「ブレイクタウンレーベル」から出している音楽です。
 ◇ブレイクタウンレーベル: http://www.breaktown.com/label/

キットカットは、お守りでのブレイクのころから季節限定のいろんな味を出すなどして、情報財としての性質が強めてきました。音楽付き商品はひとつ壁を越えた印象です。

さらに、昔からあるものをひとつ。

ペットボトルの首についている「おまけ」。「スター・ウォーズ」関連のグッズで有名なペプシなどで成功しているサントリーが、この分野の先駆者でしょうか。

最近では「リプトン」の紅茶飲料についているお菓子のアクセサリーが話題なようです。
(リプトンのペットボトル紅茶飲料はユニリーバ・ジャパンとサントリーの共同開発)
 ◇リプトン キャンペーン: http://www.lipton-sweets.jp/about.html
  (ピエールマルコリーニ アクセサリーコレクション)

「おまけ」は期間限定なので、プロモーションとしての性格が強い。厳密には商品の進化に当てはまらない。けれど、モノによっては本体の飲み物がほしいから買う人よりも、おまけ目当ての人のほうが多いのでは、と思われます。単なる「おまけ」を超越していると言ってもいいのではないでしょうか?

製品/商品がコモディティ化すると、新たな付加価値をつけないかぎり、価格競争をするしかありません。「付加価値をつける」というと、ついつい「飲み物の味」を良くするとか、ペットボトルを飲みやすくするとか、つぶしやすくする、というように考えがちです。

しかし、マクドナルド、ネスレ、サントリーという、マーケティングの先駆者たちは、異なる次元の付加価値に踏み出して商品を進化させているようです。

さて、あなたの商品にはどんな付加価値をつければよいでしょうか?

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2009年6月 1日 (月)

エコポイントに縛られない消費者

先週金曜日の日経新聞記事 「私は『買い足し派』 愛着ある家電 長〜く使う エコポイントに縛られず」に思わず手を打ちました。(※1)

「エコポイント」対象外の地デジチューナーや小型冷凍庫、サーキュレーターを買う人がいる、という内容。

エコ型の新製品に買い換えるよりも、今ある電機製品を使い続けるほうが環境負荷が小さい場合が多々あるでしょう。「エコポイント」というのは環境負荷を低減させるための政策というよりは、エコのイメージを利用した景気刺激策という見方があります。(※2) その通りかも知れません。

しかし、少なくとも一部の消費者は政府の政策に惑わされることなく、「エコ」な生活を求めていることが記事から伝わります。もっともこの「エコ」は「エコノミー(経済的)」のエコでもあるのでしょうけれど。

企業サイドから見れば、国を挙げての販促策にすら乗ってこない消費者もお客なわけですから、さらに知恵を使ってそうしたお客に対応する必要がありそうです。

※1:日経新聞 2009/05/29付。
※2:たとえばこのコラムを参照: http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20090522/195568/?P=1

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2009年4月26日 (日)

スーパーの地位の変化に思う

最近はあまりフォローしていませんが、昔勤めていたせいでスーパー業界のことは多少気になります。先日の日経の夕刊にスーパーの商品構成比の変化が載っていました。(※1)
それによると:

日本チェーンストア協会加盟のスーパーの商品別売上構成比は

      1998年     2008年
合計売上高 16.8兆円    13.3兆円
食料品   49.5%     61.9%
衣料品   19.5%     11.6%
住居関連品 21.2%     20.2%

となっています。(サービス、その他は省略)

売上高は10年間で2割減少しています。
食料品の構成比が12%ポイント上がっていますが、全体の売上が2割減少しているので、売上高はほぼ横這い(微減)です。

衣料品の売上高は半減以下。住居関連品も4分の3になっています。

このデータでは国内の需要量全体がつかめませんが、記事にあるようにユニクロなどの専門店に押されているのは確かでしょう。

スーパー自体、1990年ごろまではGMSと呼ばれる衣食住総合的な品揃えの業態が主流でしたが、食品を主体とした業態にシフトしていることも要因でしょう。しかし、これは専門店勢力に負け続けた結果、その業態しか残らなかった、とも言えます。

規模が大きくなって、なお攻めるというのは難しい。

そういう面から見て、(今は苦しんでいますが)トヨタやホンダのような大きくて、なおかつ成長を続ける企業はすばらしいと思います。


※1: 2009/04/21 日経新聞夕刊 「なるほどシェア 衣料品、スーパーで地位低下」

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2009年4月22日 (水)

5つの経営戦略論

3月末から4月上旬にかけて日経新聞「やさしい経済学」欄に連載されていた「経営戦略論の系譜と本質」によれば、経営戦略の戦略観(学説)は5つのタイプに分類できると言います。(※1)

1.戦略計画学派
2.創発戦略学派
3.ポジショニングビュー
4.リソース・ベースト・ビュー
5.ゲーム論的アプローチ

この次の連載(※2)に
「人は自分が重要と感じることなら何もかも戦略と形容する習性がある」
という名言がありましたが、経営戦略論(フレームワーク)は、こうした考え方の違いあるせいで共通の土台の上で語ることが難しいのです。

その意味で、5つに分類して、それぞれの特徴、メリットとデメリットを解説してくれるのはありがたい。

多くの人が自分の好みの戦略観を重視する傾向があり、著者はそれを「戦略バイアス」と呼んでいます。

私たちは自分自身の「戦略バイアス」を自覚するべきでしょう。
そのうえで、今この組織のこの状況で、どの戦略観を重視した戦略立案を行うべきかを判断すべきです。

言うほど簡単なことではありませんが、やはり入口を間違えないことが大切です。

あなた自身、どんな「戦略バイアス」を持っていますか?

※1: 日経新聞 2009/03/26〜04/06付 沼上幹(一橋大学教授)「やさしい経済学―経営学のフロンティア『経営戦略論の系譜と本質』(1)〜(8)」

※2: 日経新聞 2009/04/10〜04/21付
三品和広(神戸大学教授)「やさしい経済学―経営学のフロンティア『超長期の企業戦略論』(1)〜(10)」の「(3)利益に影響」の冒頭部より。

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2009年4月12日 (日)

なぜクリーニングの急ぎ仕上げは無料なのか?(笑)

最近よくあるタイプの会計本のタイトルを真似てみました。(^_^)
でも会計よりもマーケティング寄りのお話。厳密な分析ではありませんので、予めご了承ください。


いつも利用するクリーニング店。通常より速い翌日仕上げに追加料金がかからないということを先日知り、「なぜ特急料金をとらないんだろう?」という素朴な疑問が湧きました。

急ぐ人に追加料金を求めれば、収益が増えて、利益を増やせるか、他のサービスや割引キャンペーンの原資に回せるはず。しかし、そうしないからには何か理由がありそうです。


私の想像。

まず、追加料金を求めなければ、急ぎ仕上げの注文が増えて困る可能性がありますが、どうでしょう? 困らない理由は何でしょうか?

店舗型のクリーニングサービスは、仕上がり後に店に行って受け取らなくてはなりません。とりわけ、急ぎ仕上げの場合は、早く仕上がった期間内に受け取りに行かなければ意味がありません。(※1)

したがって、急ぎ仕上げを依頼する人はそんなに多くないと考えられます。現に私自身は「急ぎ」にしたことがありません。ふつうは次の週末に受け取ります。たまに「急ぎ」にする人もいるでしょう。うちの妻がそうです。一方で、毎回のように急ぎ仕上げ、という人もいるはずです。

「毎回急ぎ仕上げ」の人たちを一つ顧客セグメントと考えれば、「追加料金なし」は一つの価格戦略です。「追加料金あり」の他店から客を奪えるメリットの方が大きいかもしれません。

客数増の効果が、「たまに急ぎ仕上げ」の客への追加料金から得られる売上増の効果を上回ればよいわけです。「追加料金なし」は「たまに急ぎ仕上げ」の客の満足度を高めてロイヤリティを高める効果も期待できます。

いずれも、「急ぎ仕上げ」の注文が増えすぎないことが重要な前提条件でしょう。


実際にお店で尋ねてみました。

「どうして追加料金がいらないんですか?」

「遅くてもいいお客さんのを追い越して扱うからです」

的を射ない答えのように聞こえますが、実は本質を衝いていました。

週末だけに来る、遅くてもいいお客が多いので、急ぐお客のを割り込ませることができる、というのです。価格戦略かどうかは確かめませんでしたが、追加料金をとる積極的な理由(コストアップ)がないのは確かです。


そこで気づいたのですが、仕上がり後に早くお客に早く引き取ってもらう方が、店にはメリットがあります。引き取りが遅れるとお店の保管スペースが溢れてしまいます。

現にその店では早く引き取ったら5%割引券をくれます。急ぎ仕上げですぐに引き取れば次回5%引き。追加料金どころか、むしろディスカウント!

つまり、この店の場合、店舗の保管スペースには余裕がないが、工場の処理能力には余裕があるんでしょうね。逆パターンは考えにくいですが、配達型のクリーニングサービスがそれに近いかもしれません。


※1: サービス財は、買い手(受け手)の参加が必要、というセオリーです。クリーニングの場合、直接的なサービスのサービスは衣類なので「保管」が可能ですが、「急ぎ」の場合は、「早く受け取る」ことが買い手に求められます。

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2009年3月31日 (火)

パスタの1分前、カレーのルー2種類

パスタをアルデンテに茹でるには、袋に書いてある「ゆで時間」より1分ぐらい前にお湯から上げる、というコツが広まっています。そのあと加熱しながらソースを和える時間を含めて「ゆで時間」になるようにするとよいらしいです。私も何度か試していますが、確かにその方がおいしく出来上がります。そして、ふと思うのです。

パスタメーカーの開発者はくやしいだろうな、と。

勝手な想像に過ぎませんが、表示の「ゆで時間」を修正するコツが広まるのはとてもくやしいことでしょう。そのほうが美味しかったらなおさらです。

まさかパスタメーカーの人が、消費者が茹で上げたパスタをそのまま食べると思っているはずがありません。ソースを和える時間があることがわかってはいても、表示を変えることが難しいのかもしれません。あるいは消費者の好みがアルデンテに変化したせいなのかもしれません。

いずれにせよメーカーの人としては、なんとかしなくてはならない問題だと思います。

同じような話においしいカレーを作るには2種類のルーを使う、というコツがあります。私が開発者なら、かなり悔しい。だってルーは、スパイスを調合したものであって、美味しくなるような組み合わせを研究し尽くしているはずなのに!

こちらは何が起こっているのでしょうか?

ある人に聞くと、ルーを2種類使うだけでなく、隠し味にフルーツなども使うと言います。それが「わが家の味」らしいのです。

それを聞いて、なるほど、わかりました。消費者のカレーに対する味覚・調理技術は、ルーの先を行く進化を遂げていたのです。肉や野菜の素材、カレールー、隠し味を組み合わせるコーディネート品に発展しているのです。従来ルーは、味を規定する強い支配力を持ったコアパーツだったのですが、支配力が低下し、お気に入りの味を生み出すためのパーツの一つになってしまったのです。

と考えると、メーカーの戦略にもいくつか選択肢が出てきそうですね。近いうちにそういう製品が登場するを楽しみにしていましょう。

両方の事例とも《消費者の成熟化》という言葉で括ることができそうですし、後者は《ユーザーイノベーション》の領域に入るかも知れません。

さて、わが身を振り返ってみましょう。(読者のあなたもどうぞ)

・自分の作っている製品、売っている商品がお客様にどんな使われ方をしているか、実態をつかめているだろうか?

・お客様が使いこなすために工夫することを想定して、利用しやすい形態や関連情報を提供しているだろうか?

私の場合はいろいろと反省させられます。パスタとカレールーに学んで、今後の開発に活かしたいと思います。

※2009/04/01 一部加筆。

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2009年3月19日 (木)

「少々お時間がかかりますがよろしいですか?」

人と待ち合わせがあってスタバに行ったときのこと。

「ふつうのコーヒー、ドリップコーヒー、ショートで」

と言いながら、メニューの下に小さく「ディカフェ」(カフェインレス)があるのに気づいて、

「やっぱりデカフェにしてもらえますか?」

と言い直すと、返ってきたのがタイトルのセリフ。


「あ、まぁ、いいですけど」と答えたのですが、すかさず別の店員さんが、

「5分ぐらいかかりますけど、よろしいでしょうか?」

と畳み掛けてきたので、つい、

「あ、あぁ・・・、じゃ、まぁ、ふつうのでいいです。」

と答えてしまいました。

返事をしながら頭によぎったのは、なに、デカフェは売りたくないの?という疑問でした。親切で尋ねてくれたのだと思いたいけれど、疑念は消せません。この店にかぎらず「時間がかかるがよいか?」を聞かれて、同じように感じることがときどきあります。


じゃあ、どう尋ねればよかったのでしょう?

受け取り方には個人差があるので断定的なことは言えませんが、私なら、

「5分ぐらいかかりますが、お待ちいただけますか?」

の方がプレッシャーが小さい感じがします。「よろしいでしょうか?」と言われると、「それでも注文するのか?」と迫られているような気がするのは、私だけでしょうか?

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2009年3月 1日 (日)

20世紀に栄えたもの、21世紀に栄えそうなもの

1月の全国百貨店売上高が、前年同月比△9.1%で11ヶ月連続のマイナスになったというニュースがありました。(※1)

今更ながら、「百貨店」という業態のピークは20世紀だったんだなぁと感じ入ります。

米国では新聞社が業績悪化に苦しんでいるというニュースもありました。(※2,3) 新聞も20世紀に興隆を極めたメディアとして歴史に記憶されるのでしょう。

マーケティングの世界に「製品ライフサイクル理論」がありますが、この2つのように今、大きなカテゴリー単位でライフサイクルの衰退期を迎えているものが多いのかもしれません。単なる景気後退の影響ではなく、ライフサイクル上の衰退が加速していると捉えるのです。

では、ほかにどんなものが、衰退期を迎えつつあるでしょう?
試しに仮説のリストを作ってみましょう。

(20世紀に栄えたもの)  (21世紀に栄えそうなもの)

・百貨店          ・ネットショップ ?
              ・コンシェルジュ(サービス総合窓口)?

・日刊新聞紙        ・ネット配信ニュース ?

・ガソリンエンジン自動車  ・電気自動車 ?

・化石燃料(石炭、石油)  ・太陽光、風力など自然エネルギー ?


ちょっと大胆に範囲を拡げてみましょう。

・米国&ドル通貨      ・?

・階層型組織(官僚組織)  ・フラット/ネットワーク型組織 ?

・株式会社         ・?

・トップダウン型リーダーシップ  ・サーバントリーダーシップ ?
                 ・分散型リーダーシップ ?


 さて、リストの続きは皆さんもどうぞ。自分のお仕事の業界にあてはめてみるのが面白いかもしれません。私の場合はこんな具合です。

・集合型社員研修      ・eラーニング、OJT ?

・コンサルティング     ・問題解決&ラーニング支援 ?


※1:百貨店売上高の前年同月比の値は店舗数調整後。参照サイト:日本百貨店協会プレスリリース

※2:「米老舗日刊紙、休刊も サンフランシスコ・クロニクル」

※3:「破綻の米トリビューン紙、再建かけタブロイド判を投入」

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2009年2月20日 (金)

「レクサスが失敗」だとすると?

出張先でのタクシーの運転手さんの話。

地元の工業団地には、トヨタとパナソニックの合弁会社がハイブリッド車用の蓄電池を生産する工場ができるのだそうで、そこで働く人を募集したところ、予想を大幅に上回る応募があって、会場が溢れたほどだったと。東京方面から来た人も多かったとか。

やっぱり時代はエコですよ。ホンダが出した低価格のハイブリッド車(インサイト)も予約がすごいって言うじゃないですか。こんな景気でもいいものは買う人がいるんですよ。トヨタはレクサスなんて始めちゃったけど、あれは失敗だったんじゃないかなぁ、ガソリン代もかかるし、ベンツの真似する時代じゃないですよねぇ、お客さん?

という具合に話が続きました。いや、ホンダが良くてトヨタがダメとかいう話ではありません。私にとって、レクサスそのものが失敗、という見方が新鮮でした。クルマの運転を職業にする人だからこそ、自動車メーカーの動きを冷静に見ているのでしょうか。私にはそういう視点がありませんでした。

「レクサスは失敗だ」という話でもありません。ただ、こういう大きな戦略レベルの決定で、判断を誤っている、いや時代に裏切られただけかもしれないが結果的に失敗をしている、という捉え方は、今の時期とても大事だと思います。他にもあるかもしれません。

あなたの業界にはないでしょうか?

●トヨタ、パナソニックの合弁工場についての記事
http://www.47news.jp/CN/200807/CN2008070701000660.html
●ホンダ インサイトの好調な受注についての記事
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20090217/1023792/

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2008年11月 5日 (水)

電機業界 再編の動き

パナソニックによる三洋電機の買収が固まってきて、電機業界の再編が注目されています。日経新聞では「電気大再編 パナソニック、三洋買収の衝撃」という特集記事を連載していました。メモをかねて引用しておきます。

◆電機業界の主な再編の動き
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<統合・提携>
パナソニック   キヤノン、日立と液晶パネルで提携
ソニー       シャープと液晶パネルで提携
           半導体設備の一部を東芝に売却
シャープ      パイオニアと資本・業務提携
           東芝と液晶テレビで提携
日本ビクター   ケンウッドと経営統合
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<撤退>
三洋電機     京セラに携帯電話事業を売却
東芝        HD-DVDから撤退
三菱電機     携帯電話から撤退
パイオニア    プラズマパネル生産から撤退
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出所: 2008年11月4日付 日経新聞朝刊

一連の動きは、「総合電機」と呼ばれてきた日本の電機メーカーが、ここに来て「選択と集中」を加速させているものだと言えます。背景には、個別の製品市場・企業の状況があるにせよ、人口減少時代に突入して日本国内の市場成長が見込めないこと、BRIC’sを代表とする海外成長市場で戦うには、個々の企業の事業(製品)では規模などの面で海外メーカーと比べて競争力が足りないこと、が挙げられるでしょう。

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