「マックでDS」に見る商品の進化
マクドナルドが「ニンテンドーDS(R)シリーズ」を利用した店舗限定の無料コンテンツサービスを開始するというニュースがありました。
◇マックでDS: http://www.mcd-holdings.co.jp/news/2009/promotion/promo0615.html
私たちは直接的にはハンバーガーなどの食べ物に対してお金を払いますが、マクドナルドが顧客に提供するのは、食べ物だけでなく店舗での体験を含めたサービス全体だということです。
一時的なキャンペーンでもなく、ごく一部の店だけでもありません(全国約3,750店舗のうち約3,200店舗=85%)。
マーケティングのセオリーで膨張製品や潜在製品への拡張にあたると言えます。マクドナルドとしては価格競争の圧力に対して、高付加価値化で対抗するのでしょう。「キッズ&ファミリー」にターゲットを絞っているところから、ファミレスなどを想定競合としているのかもしれません。
もうひとつ最近気になった例を挙げましょう。
合格祈願のお守りとして有名になったネスレのキットカット。単なるチョコレート菓子を超越しつつあります。
「キットカット スルーザブレイク」という商品は、「スルーザブレイク」という音楽・ダンスユニットのデビュー曲を1曲選んでダウンロードできる、というものです。(もちろんキットカットがあって、そのパッケージにダウンロード用のシリアルナンバーが付いている。)
「夢に向かってがんばる人たちに、音楽の“応援”を贈るためにキットカットが設立した」という「ブレイクタウンレーベル」から出している音楽です。
◇ブレイクタウンレーベル: http://www.breaktown.com/label/
キットカットは、お守りでのブレイクのころから季節限定のいろんな味を出すなどして、情報財としての性質が強めてきました。音楽付き商品はひとつ壁を越えた印象です。
さらに、昔からあるものをひとつ。
ペットボトルの首についている「おまけ」。「スター・ウォーズ」関連のグッズで有名なペプシなどで成功しているサントリーが、この分野の先駆者でしょうか。
最近では「リプトン」の紅茶飲料についているお菓子のアクセサリーが話題なようです。
(リプトンのペットボトル紅茶飲料はユニリーバ・ジャパンとサントリーの共同開発)
◇リプトン キャンペーン: http://www.lipton-sweets.jp/about.html
(ピエールマルコリーニ アクセサリーコレクション)
「おまけ」は期間限定なので、プロモーションとしての性格が強い。厳密には商品の進化に当てはまらない。けれど、モノによっては本体の飲み物がほしいから買う人よりも、おまけ目当ての人のほうが多いのでは、と思われます。単なる「おまけ」を超越していると言ってもいいのではないでしょうか?
製品/商品がコモディティ化すると、新たな付加価値をつけないかぎり、価格競争をするしかありません。「付加価値をつける」というと、ついつい「飲み物の味」を良くするとか、ペットボトルを飲みやすくするとか、つぶしやすくする、というように考えがちです。
しかし、マクドナルド、ネスレ、サントリーという、マーケティングの先駆者たちは、異なる次元の付加価値に踏み出して商品を進化させているようです。
さて、あなたの商品にはどんな付加価値をつければよいでしょうか?
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