「フリー 〈無料〉からお金を生み出す新戦略」
昨年後半、最近流行りの「無料」を核にしたビジネスモデルについて、いい本が見当たらないので、もう少し整理しておきたいなぁと思っていたら、出会いました。ちゃんと世の中には、そういうことをきちんと調べてまとめる人がいるものです。(もちろん、自分でやるより、断然レベルが高い)
「フリー 〈無料〉からお金を生み出す新戦略」
がそれ。
「ロングテール」を流行らせたクリス・アンダーソンという人が著者。
時間がない人は、第2章(p.48)までだけでも読まれることをお勧めします。
ここで著者は、フリーのビジネスモデルを、4つに分類している。
今後、これが基本フレームワークになるだろう。
(個人的には、これが欲しかった・・・)
フリー① 直接的内部相互補助
フリー② 三者間市場
フリー③ フリーミアム
フリー④ 非貨幣市場
厚い本なので、中盤はかったるくなって、多少飛ばし読みをしていたのだけれど、後半にかけてとても刺激的になった。頭の中がどんどん動き始めた。
良い本というのは、ぐいぐいその本の中に引き込まれるものもあるけれど、これは別のタイプ。
読んでいる途中で目が止まって、連想される別のことを考え始める。そういうことが何度も起こる本。久々に、何度もそういう体験をした。
これは、知識を得るだけの本ではなく、知っていることをわかりやすく整理してくれるだけの本でもなく、世界の理解のしかたの組み換えを求める本だと思う。
私自身は、まだ組み替えが十分にできていない――本を読んだだけで完全な組み換えはできないと思う――けれど、そのきっかけは確実にもらった。
1ヶ所だけ引用をしておきます。(孫引き)
SF作家のコリィ・ドクトロウによる「タンポポの考え方」を引用した部分。
タンポポの視点から見れば、個々の――というよりほとんどの――種子の損失は重要ではない。重要なのは、春が来るたびにすべての舗装道路のすべての裂け目がタンポポで埋まることだ。タンポポはただひとつの貴重な自分のコピーを世話して、それがやがて自分のもとを離れ、注意深く道を選んで生育に最適な環境へと到達し、そこで家系を永続させることを望んだりしない。タンポポが望むのは、あらゆる繁殖の機会を利用することなのだ。フリーのビジネスモデルは、「潤沢さ」を利用して、タンポポの戦略を採用することなのだという。 引用箇所の3つ目の文章(ただひとつの貴重な・・・)が、ヒトの戦略を指しているのは明らかで、私たちはそのギャップに悩まされることになる。
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント