n 質問会議/アクションラーニングのセッション)

2009年9月24日 (木)

「原因分析」をする手法、しない手法

アクション・ラーニング(AL)のコーチとして体験会を実施したときのこと。
セッションを終えてから、20代の男性から質問が出ました。

「ふつう、問題解決の手法では、原因を突き止めたうえで解決策を立てるという順序なのに、この方法(AL)ではなぜ原因分析のプロセスがないのか?(なぜなくてもよいのか?)」

 すごい、いい質問しますね〜。(^_^;)
ロジカルシンキングなんかが普及したおかげで、いきなりこんな鋭い質問をしてくる人がいるので、コーチも油断できません。

さて、どう答えればいいでしょうか?

私は、次のように答えました。

まず、

(1)
・「問題の再定義」で再定義された問題が、しばしば「問題の原因」になっていることがある。
・したがって、「原因分析」のプロセスはないけれど、原因を捉えていることがある。

そうでない場合でも、

(2)
・ALで取り上げる「問題」は問題を提示した人(たち)の行動によって解決しようとするものだ。
・このとき、主体的な行動を引き出すのは、その人にとっての主体的な問題の捉え方、つまり「自責」の捉え方であって、必ずしも客観的なものでなくてもよい。
・ところが「原因分析」は、本来客観的に行うものなので、気をつけていないと「他責」になりやすい。
ex.「景気が悪い」「会社のしくみが実情に合っていない」
・したがってALセッションでは、明示的な手順として「原因分析、原因追求」を行わない。
(原因について考えていないわけではない)

これで、多少は納得してもらえたようです。

では、原因を特定するタイプの問題解決手法と、ALのように原因を特定しないタイプの手法は、どう使い分ければよいのでしょう?

これについては、次のような考えをお話ししました。

・製造現場などのように物理的な面が大きい問題については、おそらく原因特定型の手法が適している。
・しかし、人間や組織・制度などの面が大きい問題については、ALのような原因を特定しない手法が適することが多い、と考えられる。
(もっともこれは、当事者自身が解決のための行動主体になることが前提。もし、外部コンサルタントが客観的な立場で解決策の立案を行うのであれば、原因特定型が求められるはず。)

私自身、明確な結論に至っているわけではありません。

皆さんのお考えはいかがでしょうか?

------------------------------
◇筆者は日本アクション・ラーニング協会の認定ALコーチですが、本記事の内容は、アクション・ラーニング協会の公式見解ではありません。

◇関連記事: http://asao.way-nifty.com/empower_yourself/2009/05/post-0f7a.html

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年5月26日 (火)

「『チーム脳』のつくり方」


「質問会議」に続く、日本アクションラーニング協会代表 清宮普美代氏の著書、第2弾。

「成果を上げつづけるリーダーの仕事術」という副題にあるように、チームリーダー、チームマネジャーがどうあるべきかをわかりやすく説いています。

要するに「チーム脳」を作り出すリーダーになるにはどうすればよいか、です。具体的には自分の意見を言う「意見リーダー」と、質問を投げかける「質問リーダー」を対比させたりしながら、新しいリーダー像を描きます。

その背景として(本の中の説明とは少し違いますが)、階層型組織のリーダー/マネジャーモデルでは、現在の知識創造型企業の組織運営がうまくいかないという状況があります。

私自身そういう考えの下、チームメンバーの力を引き出すタイプのマネジャーを育成するための研修プログラムの開発に取り組んでいたので、共感できるところが満載。読んだ直後に清宮さんに会う機会があったので、「あの本、すごい良かったですよ~!」と気持ちを込めて伝えました。


誤解のないように付け加えると、「質問会議」手法については直接触れられていません。手法のエッセンス、あるいは背景にある考え方を、チームリーダーの行動に拡大適用したものと言えます。

したがって、私がぜひ尋ねてみたいのは、「質問会議」を体験したことがない人が読んだらどう受け止めるのか? どこまで伝わるのか?
(著者も「わからない」とおっしゃってました。どなたかいらっしゃったら教えてください。)

この点さえクリアになれば、幅広いリーダー層、マネジャー層にぜひお勧めしたいです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年4月21日 (火)

質問会議(ALセッション)で犯人探しをしない理由

質問会議(ALセッション、※1)の規範の一つに「課題そのものに注意を向ける」があります。具体的には「犯人探しをしない」ということです。

なぜでしょうか?

この規範が重要なのは前半の「問題を明確化する」フェーズ。とりわけ部下、同僚、上司に絡む「問題」の場合に意識することが必要です。

典型的な例は、ある人物と問題提示者を含む周りの人みんながうまくいっていない場合。自然とその人物に関する質問が多くなります。

これが続くとき、「規範は守られていますか?」「犯人探しになっていませんか?」と尋ねても、質問会議に慣れないチームではほとんど、否定的な答えが返ってきます。「状況を確かめているだけだ」と。

これは「犯人探し」ではないのでしょうか?

私は「犯人探し」だと考えています。確かに話を聞いていると厄介そうな人であったり、組織が望んでいないような行動をとる人であったりします。でも一緒に仕事をしなければならない同僚なのです(仮に追い出すという解決策があるなら、問題提示されていません)。

問題の捉え方としては、どうすればうまく一緒に仕事ができるかという課題に結びつくものでなくてはなりません。でなければ解決に向けた行動がとれません。

つまり、問題を明確化する、問題の本質を捉える、というのは、必ずしも「問題を客観的に捉える」のと同じではないのです。

解決に向けた行動をとるためには、多面的な視点を踏まえたうえで、主体的(主観的)に問題を捉えるべきなのです。他責でなく自責と言うこともできます。


質問会議の未経験者が多いセッションでは、この手の問題を避けたほうが安全でしょう。メンバーが客観的に問題を捉えるので、気づかないうちに「犯人探し」に傾いてしまうです。チームが経験を積めばこの問題は解消できるでしょう。


※1: 「質問会議」については下記をご覧ください。
弊社サイト:「質問会議」(アクションラーニングのセッション)
http://www.openpower.jp/2009/03/post-d279.html

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年4月15日 (水)

質問会議(ALセッション)体験会

知人を誘って「質問会議(アクションラーニングのセッション)」の体験会を実施。

これまでの体験会は知人に声をかけて参加者を集めてもらう形式だったので、初めて会う方がほとんど。今回は全員直接の知り合いでした。

しかし接点がばらばらなので参加者どうしは全員初めて。私もちょっと奇妙な気分でした。

セッションは全員初体験。

コンサルタント系のメンバーは意見や結論ではなく質問形式にするのに、最後までてこずったようでしたが、それを自覚できるのがこの手法の特徴。

時間はかかりましたが、全員が当初想像していたのとは異なる「本質的な問題」が捉えられました。これもこの手法の優れたところ。

回数を重ねれば、いいチームセッションができそうです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月23日 (月)

リフレクションを促すしかけを設計する

今年の初めから受講している、アクションラーニングコーチ(ALコーチ)のシニアコース、先週の講座は「リフレクション」がテーマでした。

シニアコースというのは、上級資格の「シニアALコーチ」を取得するための講座で、トレーナーコースとプランナーコースに分かれています。先週のはプランナーコースの第2回。プランナーコースでは、ALセッションを含むプログラムを組織に導入するプランの立て方を学びます。※プログラムというのは、例えば1シリーズの研修コースです。

コーチ資格を認定している日本アクションラーニング協会の「アクションラーニング」は、「アクションラーニング」の中でも「リフレクション」を重視するもので、とくに問題解決(の具体策を立てる)とリフレクションによる学習に焦点を当てた1時間程度の話し合いセッション(を手法化したもの)を、コアにしています。この話し合いセッションのことを、最近ではわかりやすく「質問会議」と名づけています。

大雑把に言うと、ALコーチは「質問会議」でコーチ役を務めることができ、シニアALコーチは「質問会議」を含めたアクションラーニングのプログラムの導入までできる、という区分になります。プログラムの導入目的は組織によりさまざまです。

話が少し広がってしまいましたが、講座のテーマは、いかに「リフレクション」が起こりやすいしかけを組み込んだプログラムを設計するかです。例えば、「振り返りシートを書く」だけでもリフレクションが促されます。そういう意味では簡単。しかし、狙いとするリフレクションは、どのレベルのことなのか、を考えたうえで、適切なタイミング、適切な質問などを用意することが重要です。もう少し「リフレクション」自体について、深く知ることが必要だと感じています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年9月13日 (土)

アクションラーニングの入門書が発売されます

昨年秋にアクションラーニングのコーチ認定を受けて、仕事でも活用
しているが、体験したことのない人に理解してもらうのが難しいのが
欠点だった。

その点は、コーチ養成などをおこなっている日本アクションラーニング
協会の人も同じように考えていたのだろう。この技法を用いた話し合い
のセッションを、思いっきりわかりやすく「質問会議」と言い換えた
入門書を出すに至ったそうだ。

まだ発売前なので、中身を読まずにお勧めするのは恐縮だが、
著者いわく「苦節3年」の力作らしいので、期待してよいと思う。

下記は、同協会が行う発売キャンペーンの情報。

★PHPより9/20発売★

【組織内のチーム育成を真剣に考えたいリーダーの必読書】
『 チーム脳にスイッチを入れる!「質問会議」
~なぜ質問だけの会議で生産性が上がるのか?~』

今月20日(土)、トヨタ自動車、富士ゼロックス、NECなど
国内有数企業への導入実績を有する著者が放つ、初の質問会議
ノウハウ本がPHP研究所より発売となります。

社員の思考と行動を変革し、最強チームを生み出す画期的な会議
運営を論じた初の著書。社員の"本気度"を引き出し、自由闊達と
したチームをつくりたい企業内リーダーのあなたへ、おすすめの
一冊です。

本発売を記念して、アマゾン経由で本著をお求め頂いた方に3つの
特典を御用意いたしました。

☆★9/22(月)~24(水) 3日間限定 アマゾンキャンペーン特典★☆
http://www.ldcjp.com/amazon
(その1)「質問会議」事例集 ベストプラクティス10(仮)のプレゼント
(その2)先着各90名!著者による「質問会議」セミナー(

東京・大阪)ご招待
(おまけ)協会公認講座 アクションラーニング基礎講座10%割引※期間限定


〔参考〕アクションラーニングについての過去の記事


| | コメント (0) | トラックバック (0)