「原因分析」をする手法、しない手法
アクション・ラーニング(AL)のコーチとして体験会を実施したときのこと。
セッションを終えてから、20代の男性から質問が出ました。
「ふつう、問題解決の手法では、原因を突き止めたうえで解決策を立てるという順序なのに、この方法(AL)ではなぜ原因分析のプロセスがないのか?(なぜなくてもよいのか?)」
すごい、いい質問しますね〜。(^_^;)
ロジカルシンキングなんかが普及したおかげで、いきなりこんな鋭い質問をしてくる人がいるので、コーチも油断できません。
さて、どう答えればいいでしょうか?
私は、次のように答えました。
まず、
(1)
・「問題の再定義」で再定義された問題が、しばしば「問題の原因」になっていることがある。
・したがって、「原因分析」のプロセスはないけれど、原因を捉えていることがある。
そうでない場合でも、
(2)
・ALで取り上げる「問題」は問題を提示した人(たち)の行動によって解決しようとするものだ。
・このとき、主体的な行動を引き出すのは、その人にとっての主体的な問題の捉え方、つまり「自責」の捉え方であって、必ずしも客観的なものでなくてもよい。
・ところが「原因分析」は、本来客観的に行うものなので、気をつけていないと「他責」になりやすい。
ex.「景気が悪い」「会社のしくみが実情に合っていない」
・したがってALセッションでは、明示的な手順として「原因分析、原因追求」を行わない。
(原因について考えていないわけではない)
これで、多少は納得してもらえたようです。
では、原因を特定するタイプの問題解決手法と、ALのように原因を特定しないタイプの手法は、どう使い分ければよいのでしょう?
これについては、次のような考えをお話ししました。
・製造現場などのように物理的な面が大きい問題については、おそらく原因特定型の手法が適している。
・しかし、人間や組織・制度などの面が大きい問題については、ALのような原因を特定しない手法が適することが多い、と考えられる。
(もっともこれは、当事者自身が解決のための行動主体になることが前提。もし、外部コンサルタントが客観的な立場で解決策の立案を行うのであれば、原因特定型が求められるはず。)
私自身、明確な結論に至っているわけではありません。
皆さんのお考えはいかがでしょうか?
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◇筆者は日本アクション・ラーニング協会の認定ALコーチですが、本記事の内容は、アクション・ラーニング協会の公式見解ではありません。
◇関連記事: http://asao.way-nifty.com/empower_yourself/2009/05/post-0f7a.html
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