p チームビルディング、ダイバーシティ

2009年4月 7日 (火)

2つのダイバーシティ

ダイバーシティを活かすための研修プログラム「チームビルディングリーダーズ」の、対象層についてこんな質問を受けたことがありました。

「同じ年次に入社した層を対象にした場合、あまり多様性がないと思われるが、どんな学びや効果が得られるのか?」

前提には、多様なメンバーを活かすために「コンフリクトを意識的に起こす」コミュニケーションが有効で、それが学べる、という話があります。そうすると、研修の対象層も多様なメンバー構成にしたほうが実感、実用性ともに高まるだろうと考えられます。もっともです。

であれば逆に、同期入社の人たちは研修の対象層として向いていないのか? という流れです。

答は、「そういう人たちにも向いている」です。

とはいえ、入社年次が異なる人、中途入社の人、正社員でない人、海外法人で採用された人、社外の人などが混じっている場合、つまり受講者どうしが「多様なメンバー構成だと思っている」場合とでは、取り組む上での意識を変えておく必要があります。

同期入社どうしのように「むしろ同質的だと思っている」場合でも、実は人間は一人一人さまざまです。経験や知識だけでなく、思考方法、感じ方、コミュニケーションの取り方などの資質の面でも個性があります。

つまり、
・「多様なメンバー構成だと思われる」メンバーのダイバーシティ
(外見上のダイバーシティ)

・「同質的なメンバー構成だと思われる」メンバーのダイバーシティ
(内なるダイバーシティ)
という、2つのダイバーシティがあると考えましょう。

後者の場合に大切なのは、組織内では「同質化の圧力」がかかっていて、個々人の違い、多様性を押し殺して(あるいは目を背けて)いると意識することです。組織というのは求心力を必要としますから、そうした圧力自体を否定するわけではありません。しかし一方で、多様性を活かせない要因にもなるのです。

「同期入社だから、もう何年も同じ会社・職場で働いているから、同質的だよね?」という思い込みを捨てて、改めて新鮮な目で相手と向き合うのです。

何年も一緒に暮らしている夫婦や家族でも、相手と自分の違いに改めて気づかされること、ありますよね?

それを意識的に引き出すわけです。揉め事(コンフリクト)なしに「うまくやっていく」方法は身に付けているはずですが、その逆を行くことを求めます。

これ自体は、研修プログラムと関係なく実践できるのではないでしょうか?

| | コメント (0) | トラックバック (0)