x その他

2009年7月21日 (火)

ロジックツリーがわかりやすいわけではない

新聞や雑誌で見るチャートは、ひと目でわかりやすく伝えることを目的としています。これに対してロジックツリーは、ロジカル、MECE(モレなく、ダブりなく)であっても、わかりやすいとは限りません。

では私たちは、何のためにロジックツリーを描くのでしょう?

下のチャートは、5月のGW明けに新型インフルの感染者が出たときの朝日新聞の記事で用いられたものです。デザインをそのまま再現したものではありませんが、構造は同じです。
一面に掲載されていたので、ご記憶の方もいらっしゃるのでは?

Photo

コンパクトに知りたい情報が集約されたチャートです。しかし、ロジカル、MECEな構造ではありません。中央列の上から3つ目のブロック(日本に入国 163人)あたりがとくに混乱します。

これをロジックツリーに描き直すとどうなるでしょう?

(先に自分で描いてみたい方は、スクロールをちょっと待って!)

ロジックツリーの描き方は1つではありません。
ここでは感染等の状況を中心に組み立てることにして、さらに乗客・乗員の区別や人数表記を省略します。ただし、現在(記事時点)の状況は明示することにします。

 ↓

 ↓

 ↓

 ↓

 ↓

 ↓

 ↓

 ↓

 ↓

 ↓

Photo_2

ロジックツリーにすると何が得られるでしょう?

  • メリット: 分類基準を意識できるので、ヌケモレを発見しやすく、あいまいな点がクリアになる。
    最初のチャートで「4人(調査中)」となって いたものが、感染状況も行先も不明であること、また「乗り継ぎで海外へ 177人」が「非接触者」らしいことが浮かび上がる。
  • デメリット: 知りたいことに対して、余分な情報が多くなりやすい。

元の新聞記事のチャートは、国内への入国者と隔離・足止めの状況と、その人たちの感染・接触状況を知らせようとしているので、国外に乗り継いだ人や「不明」な人については、最小限の表記にとどまっています。

裏返せば、ロジックツリーによって、強調されていない部分のあいまいな点や、情報のヌケモレが浮かび上がるのです。

「メッセージ」としての「わかりやすさ」が犠牲になる代わりに、別の意味での「わかりやすさ」が得られるのです。

プレゼンテーションのツールというよりは、その前の情報収集・思考・分析のツールとして位置づけるべきでしょう。


(ロジックツリー作例の補足説明)

一階層目の「感染」/「未感染」の前に、「感染状況判明」/「不明」を加えるといっそうロジカルですが、そこまでやっていません。

逆に、「未感染」の次の階層の「接触」/「非接触」は、次の階層と一括して、「濃厚接触」/「非濃厚接触」/「非接触」の3つに分けるだけでも十分です。そのあたりは、好みでOKでしょう。

 

<p><p><p><p>スライド 2</p></p></p></p>
ü

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年6月 3日 (水)

ブログを読むためのRSSリーダー

昔からの友人が「ブログを読んでる」と言ってくれて、とてもうれしかったです。ありがたいですね。
ところが、毎朝何十人分も手作業でチェックしていると聞いてびっくり!

「更新されたブログだけ見る便利なツールがあるんだよ!」
「じゃ、それブログに書いてくれ!」

一般にRSSリーダーと呼ばれていて、見たいブログを登録しておくと更新されたものだけが表示されます。

グーグル「リーダー」 http://reader.google.co.jp/

はてな「RSSリーダー」 http://r.hatena.ne.jp/

どちらもWeb上のものですが、ネット上に登録データを置きたくない場合は、PC側でメーラーかブラウザのように使えるアプリケーションソフトもあります。(私は最近使っていないですが)

goo「RSSリーダー」(アプリ版、ウェブ版のほかにケータイ版があるようです)
http://reader.goo.ne.jp/

ほかにも探せばいろいろあるはずです。登録先のRSSリーダーは1つにして方が便利でしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

デスク脇の引き出し

お隣の事務所が引越で残していかれたデスクサイドキャビネット(引き出し)を、家主さんから譲っていただきました。

デスクの間に挟むと実にぴったり!
(家主さんに感謝)

090602_161535_2

元からあったキャビネットはデスク下に納まるタイプなので、暫定的に反対側の袖に移動。

収納場所が増えるのはありがたいけれど、それだけモノ・書類が増えるという法則があるので、使い方は慎重に考えます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年5月25日 (月)

「課題」

いまさらここで確認するほどのことではないかもしれませんが、会社によって使い方が違ったりするので、気をつけておきたい用語です。

 

a.課題=取り組みを課された問題

例「解決すべき課題があふれている」

「取り組みを課された」とありますが、もちろん「自ら課す」ものも含まれます。
この場合、「課題」と「問題」はほとんど区別する必要がありません。とはいえ、問題の数だけ課題があると例のようにオーバーフローしてしまうので、数多ある問題の中から重要なものに的を絞って「課題」とするのがよいでしょう。

 

b.課題=目標達成のために実現すべきこと

例)「景気回復が課題」「生産性の向上が課題」

「景気回復が課題」の場合は、例えば「失業率の上昇が問題」で「失業率を○%以下にするという目標」のために「景気回復が課題」となります。

「生産性」のほうは、例えば「○%のコストダウン目標」のために「生産性を◎%向上させることが課題」となります。

「課題=目標」でいけないわけではありませんが、「目標」とは別に設定されるのが、この使われ方の特徴です。1つの大きな目標を達成するために、2つ以上の課題を設定することもよくあります。

また、課題が最初から明らかとは限らないので、設定する過程を「課題抽出」「課題化」などとも言いますね。

「重点課題」という場合、ほぼこの用法だと思われます。

 

c.課題=弱点、苦手としていること(その肯定的表現)

例)「強みと課題を挙げてください」「プレゼンテーション能力が課題です」

「弱み」などと言うよりは、伸ばすべきこと、伸ばしうること、という前向きなニュアンスが加わります。

元々、b.の意味の「プレゼンテーション能力の向上が課題」の省略形だと思われますが、いずれにせよ、必ずしも「目標」が明確でありません。
本来は、目標に即した課題を挙げるべきなのでしょうが、「課題」だけが一人歩きしてしまっている使い方があると感じます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月29日 (日)

さくら満開間近

090329_121826_先週寒かったせいで、さくらの開花はあまり進みませんでしたね。

でも、いよいよという感じがします。次の週末は、お花見に適した天気になるといいですね。

写真は自宅の近所で毎年早めに咲くさくら
(下から見上げたところ。背景の緑はヒマラヤ杉?)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月24日 (火)

オープンな組織とは?

弊社の経営理念は「働くことの意義を高める」というものですが、これとは別にキャッチフレーズ的に掲げているのが、「オープンな組織&エンパワーされた社員」です。今日はそのお話を。

「オープンな組織」は「働くことの意義を高める」ためのキーになる条件の一つだと考えています。定義しようとは思っていませんが、
・組織が内部に対して開かれている面と、
外部に対して開かれている面
の両方があると思います。

内部の面では、例えば、業績情報を従業員に開示して参加(意識)を高める
「オープンブック」というマネジメント手法があるのですが、これは一つのオープンな組織の一つのあり方と言えるでしょう。(※1)

実際の「オープンブック・マネジメント」は企業によって様々な形態をとりますが、有名なところでは京セラのアメーバ経営もそれが核になった経営手法だと言えます。(※2)

最近の新聞で見つけたのは、ハマキョウレックスという物流の会社です。(※3)この会社のことは実はよく知りませんが、記事によると、全国57ヵ所の物流センターで「収支日計表」と呼ぶ簡単な損益計算書を作成し、「現場がリアルタイムで日々の損益を把握することで、機動的な費用削減に成功している」のだそうです。パート従業員も収支日計表の情報を共有しているとあります。

こんな風に、会社全体の決算情報を開示するというより、現場に近い組織単位で、しかも日次などの短い期間での開示のほうが意味があります。当事者にすばやい意思決定を促すことができるからです。

オープンブック・マネジメントは、単なるブック(帳簿)の開示ではありません。それにもとづく意思決定とアクションを望むわけですから、受け手である現場の従業員がそれを読んで判断できるようにすること、決定して実行できるようにすることが重要です。つまり教育と権限付与をセットにすることです。

そう、もうお気づきですね。この部分が「エンパワーされた社員」です。エンパワーは、
・知識や技能などを高める教育などをする面と
・決定、実行の権限を付与する面
の両方があると思います。


あなたの会社組織はオープンですか? どんなところがオープンでしょう?

あなたはエンパワーされていますか?(またはエンパワーしていますか?)
 どんなエンパワーをされて(して)いるでしょう?

※1: オープンブック・マネジメントを紹介した本:
・ジョン・ケース「オープンブック・マネジメント」2001年10月(原著1995年)
・ジャック・スタック「グレートゲーム・オブ・ビジネス」2002年6月(原著1992年)
 ※新訳版「その仕事は利益につながっていますか?――経営数字の「見える化」が社員を変える」2009年1月

※2:アメーバ経営についての本:
・稲盛和夫「アメーバ経営」2006年9月

※3:日経新聞、2009/03/04付、投資・財務面「逆風下の健闘企業⑤ ハマキョウレックス 現場で毎日の損益を把握」
・ハマキョウレックスの会社ウェブサイト: http://www.hamakyorex.co.jp/index.html

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月10日 (火)

「社会からアテンションを向けられること」

昨日の日経新聞で東大大学院教授・姜尚中氏が次のように述べています。弊社の理念「働くことの意義を高める」と関連しているので引用します。(※1)

 日本人は働くということを企業や市場との関係においてだけ考えてきたのではないか。これからは社会の中で働くことの意味を考えることが大切だ。

 私は働くということは最終的には社会からアテンション(注意)を向けられることだと考えている。近くにいる家族だけではなく、匿名の他者が働きを認めてくれる。匿名の他者との相互承認を経て、社会の中に自分の居場所を見つける。自分の全人格を組織や企業に投入するのではなく、社会とのつながりを常に意識することが必要だ。

このあとに続く文章では、職場内での人間関係や顧客との関係も触れられていて、“企業や市場を介した”社会とのつながりを否定する内容ではありません。

思うのは「近くにいる家族」や「匿名の他者」だけではなく、日常的に職場で接する同僚たちや取引先や顧客の人たちもいる(!)という事実です。こうした人たちを含め、人とのつながりをもっと大切にすべきだ、と解釈して良いと思います。

一方で「企業や市場」に象徴される「経済的成果の生産」抜きで「働くこと」が成り立つわけではありません。

「商品を売る/買ってもらう」こと1つ採っても、経済的成果があればこそ取引が成り立つわけですし、同時に顧客からのアテンション(あるいは顧客とのつながり)を感じることはできるのです。

さて、アテンション、あるいはつながりをもっとリアルに、ダイレクトに感じる/伝えるために、われわれにできることはなんでしょうか?


※1:日経新聞2009/03/09付 特集ページ 「働くニホン 現場発 新しい働き方を考える――識者の提言」より

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月 6日 (金)

「働くことの意義を高める」

会社のウェブサイトで「経営理念」のご紹介をしていますが(※1)、実は少し長いので、もっと凝縮した表現はないものかと考えておりました。それがタイトルの言葉です。

「働くことの意義」とは何でしょうか?

ここですべて規定してしまうつもりはありませんが、基本的にはこんなことだと思っています。

1)働くことを通じて自分や同僚が成長すること
2)働くことを通じて才能を発見し、発揮すること
3)働くことからやりがいや充実感を得ること
4)働くことを通じて人間関係を築き、存在感を得ること
5)働くことで顧客や組織や自分自身に経済的な成果を生み出すこと

(ほかにもあれば、教えてください!)

ちなみに、「働くことの意義」は、「働きがい」のような本人の心理的な充実感だけではありません。才能の開花を通じた組織・社会への貢献もあります。仕事をきっかけにした人と人との深いつながりもありますし、株主にとっての経済的価値を生み出すことも含まれます。

こう考えると幅が広すぎて「いったい何をやるんですか?」という疑問がわくかもしれません。(笑)

しかし、そんな難しい話ではありません。基礎レベルの財務研修を例にみてみましょう。

まず、株式会社の「利益」の計算方法などを学ぶこと、より効果的に「利益」を生み出すための基礎になるので、働くことの経済的成果を高めるのに役立ちます。

また、財務諸表を通じて会社全体(連結グループ)の状態を知ることで、自分の部署の仕事の位置づけ、その方針などが理解しやすくなります。目の前の部分だけを見て仕事をするのと、全体像をイメージしながら仕事をするのとでは、働くことから得られるやりがいや充実感が違います(※2)。


さらに、大きな会社組織全体で1つの経営指標を目標として共有することは、「(ただ)同じグループで働いている人」との心理的距離を縮めないでしょうか?
これも財務諸表を学ぶことで得られる意義だと思います。

ほかにも、技術職や営業職で、それまで財務に触れてこなかった人が、学んだことをきっかけに経営的視点を持ち、気づかなかった才能を発揮し始めるかも知れません。

もっと直接的で劇的な方法もあるでしょう。しかし、まずは大きな絵を視野に入れながら、今できる「働くことの意義を高める」活動に取り組んでいくつもりです。


※1: 定款に記載している経営理念
働く人が能力を高めることができ、才能を発揮でき、充実感と存在感を得られ、そして経済的な成果も生み出せる、そんな職場・会社を増やすことを当会社の使命とする。

※2: 石切り職人の話が有名です。例えば、田坂広志氏のコラム

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月 1日 (日)

昔の友人に会う

先週、中学時代の友人と28年ぶりの再会! お互いほとんど変わっていないように感じるから驚きです。

ともに京都で育って東京で仕事をしているのに、ずっと連絡を取り合う機会がなかったのですが、別の友人を介してつながることができました。ITの進歩がもたらしてくれた幸せです。

気づいたのは、彼と話していてすごくラクなことです。京都弁ということもありますが(笑)、現在の人間関係ではなく昔の関係にもとづいているので、余計な緊張が少なくてすむような気がします。裏返せば、ふだんは無意識のうちに薄い鎧(よろい)を纏っているということなのでしょうか。

もう一つわかったのは、二人とも40を過ぎて人生の折り返し地点に来た(過ぎた)と感じていること。「これから先」がなんとなく無限大に広がっているような感覚から、有限の「残りの人生」という意識に変わった点です。

冷静に考えるともっと早く気づくべきだったのでしょうが、頭でわかっているのと、そう実感するのとは違うものです。

いろいろなことを感じた、そしてとても楽しいひと時でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

20世紀に栄えたもの、21世紀に栄えそうなもの

1月の全国百貨店売上高が、前年同月比△9.1%で11ヶ月連続のマイナスになったというニュースがありました。(※1)

今更ながら、「百貨店」という業態のピークは20世紀だったんだなぁと感じ入ります。

米国では新聞社が業績悪化に苦しんでいるというニュースもありました。(※2,3) 新聞も20世紀に興隆を極めたメディアとして歴史に記憶されるのでしょう。

マーケティングの世界に「製品ライフサイクル理論」がありますが、この2つのように今、大きなカテゴリー単位でライフサイクルの衰退期を迎えているものが多いのかもしれません。単なる景気後退の影響ではなく、ライフサイクル上の衰退が加速していると捉えるのです。

では、ほかにどんなものが、衰退期を迎えつつあるでしょう?
試しに仮説のリストを作ってみましょう。

(20世紀に栄えたもの)  (21世紀に栄えそうなもの)

・百貨店          ・ネットショップ ?
              ・コンシェルジュ(サービス総合窓口)?

・日刊新聞紙        ・ネット配信ニュース ?

・ガソリンエンジン自動車  ・電気自動車 ?

・化石燃料(石炭、石油)  ・太陽光、風力など自然エネルギー ?


ちょっと大胆に範囲を拡げてみましょう。

・米国&ドル通貨      ・?

・階層型組織(官僚組織)  ・フラット/ネットワーク型組織 ?

・株式会社         ・?

・トップダウン型リーダーシップ  ・サーバントリーダーシップ ?
                 ・分散型リーダーシップ ?


 さて、リストの続きは皆さんもどうぞ。自分のお仕事の業界にあてはめてみるのが面白いかもしれません。私の場合はこんな具合です。

・集合型社員研修      ・eラーニング、OJT ?

・コンサルティング     ・問題解決&ラーニング支援 ?


※1:百貨店売上高の前年同月比の値は店舗数調整後。参照サイト:日本百貨店協会プレスリリース

※2:「米老舗日刊紙、休刊も サンフランシスコ・クロニクル」

※3:「破綻の米トリビューン紙、再建かけタブロイド判を投入」

| | コメント (0) | トラックバック (0)