ロジックツリーがわかりやすいわけではない
新聞や雑誌で見るチャートは、ひと目でわかりやすく伝えることを目的としています。これに対してロジックツリーは、ロジカル、MECE(モレなく、ダブりなく)であっても、わかりやすいとは限りません。
では私たちは、何のためにロジックツリーを描くのでしょう?
下のチャートは、5月のGW明けに新型インフルの感染者が出たときの朝日新聞の記事で用いられたものです。デザインをそのまま再現したものではありませんが、構造は同じです。
一面に掲載されていたので、ご記憶の方もいらっしゃるのでは?
コンパクトに知りたい情報が集約されたチャートです。しかし、ロジカル、MECEな構造ではありません。中央列の上から3つ目のブロック(日本に入国 163人)あたりがとくに混乱します。
これをロジックツリーに描き直すとどうなるでしょう?
(先に自分で描いてみたい方は、スクロールをちょっと待って!)
ロジックツリーの描き方は1つではありません。
ここでは感染等の状況を中心に組み立てることにして、さらに乗客・乗員の区別や人数表記を省略します。ただし、現在(記事時点)の状況は明示することにします。
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ロジックツリーにすると何が得られるでしょう?
- メリット: 分類基準を意識できるので、ヌケモレを発見しやすく、あいまいな点がクリアになる。
最初のチャートで「4人(調査中)」となって いたものが、感染状況も行先も不明であること、また「乗り継ぎで海外へ 177人」が「非接触者」らしいことが浮かび上がる。
- デメリット: 知りたいことに対して、余分な情報が多くなりやすい。
元の新聞記事のチャートは、国内への入国者と隔離・足止めの状況と、その人たちの感染・接触状況を知らせようとしているので、国外に乗り継いだ人や「不明」な人については、最小限の表記にとどまっています。
裏返せば、ロジックツリーによって、強調されていない部分のあいまいな点や、情報のヌケモレが浮かび上がるのです。
「メッセージ」としての「わかりやすさ」が犠牲になる代わりに、別の意味での「わかりやすさ」が得られるのです。
プレゼンテーションのツールというよりは、その前の情報収集・思考・分析のツールとして位置づけるべきでしょう。
(ロジックツリー作例の補足説明)
一階層目の「感染」/「未感染」の前に、「感染状況判明」/「不明」を加えるといっそうロジカルですが、そこまでやっていません。
逆に、「未感染」の次の階層の「接触」/「非接触」は、次の階層と一括して、「濃厚接触」/「非濃厚接触」/「非接触」の3つに分けるだけでも十分です。そのあたりは、好みでOKでしょう。
<p><p><p>スライド 2</p></p></p>
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